[内容]
スマホやPCの長時間利用、オンラインによる会議・講義の問題点と対処法につ
いて、科学的実験をもとに解説。副題『リモートで脳に大ダメージが!!』
[感想]
著者は東北大学加齢医学研究所 所長。
“オンライン脳”とは… パソコンなどのデジタル機器をオンラインで長時間使い過
ぎることによって、“脳にダメージが蓄積され、脳本来のパフォーマンスを発揮で
きなくなった状態” のこと。
以前(2022年)読書感想に書いた『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン)との違いを知
りたくて本書を読んでみた。ほぼ同じ要旨だったが、東北大学で行われた実験、小
中学生への大規模な追跡調査、オンライン会議や講義に対する考察など、より身近
な内容となっており興味深く読んだ。
以下に、デジタル機器を使った実験と研究の結果を幾つか抜粋。
◎毎日3~4時間以上使用している子供は、脳の発達に悪影響が見られる。
大人の場合は、ウツなどの精神的・心理的問題が生じることが多い。
◎過剰な使い方をする人の脳は、アル中などのいわゆる依存症や中毒と診断され
た人の脳の反応に似ている。
◎オンラインによる会話では、情報を伝達できても心が通い合わず、対面の場合
に自然に生じる互いの共感・協調・協力関係などをうまく築くことが出来ない。
◎教師と生徒がリアルタイムでやり取りする双方向型のデジタル機器を、毎日
1時間以上使っている幼児・小中高生は、確実に学力が低くなっている。
その他、子供だけではなく大人にも当てはまる事が多く挙げられている。
「画面が小さいほど、脳の活動が抑えられる。」
「スマホを使って学習すると、分からないことが出ると次から次にスイッチングを
繰り返して調べることになり、途中でラインメッセージが届けばやり取りをして
しまうことが殆ど。こういう学習の仕方は効果が薄く、何もしない方がまし。」
現在学校ではGIGAスクール構想により、一人一台デジタル端末が配られているが、
著者はこれを「エビデンスが一切ない」「無謀な社会実験」とバッサリ。
また、企業のテレワークや在宅勤務の問題点も指摘しており、まともな企業はオン
ラインからの離脱を進めていると話す。但し、「意味の薄い会議は、どんどんオン
ラインでやればいい。」とも。
オンライン脳は誰でもなる恐れがあるものだが、回復は可能だそうで、以下に
“子供に制限すべき事” の中から幾つかを抜粋。(理由については省略)
・2才までの幼児はデジタル機器に触れさせてはいけない。
・スマホを持たせるのは高校生くらいから。
・テレビ ゲームは1日1時間以内。
この他、朝食や睡眠に関してなど、デジタル機器以外のアドバイスも多数。
私は現在数種の診療科に通っているが、ここ何年かで待合室は様変わりし、老若関
係なく殆どの人がスマホの画面を見つめている。あと、オンラインによる授業や会
議もコロナ禍であっという間に社会に浸透したが、これも歴史は浅い。
著者は「叩かれても私は言う。デジタル漬けの子供を救うのは今しかない。」と言
っており、このような宣言をするほど、著者の意見に反論する人は多いのだろう。
しかし歴史が浅い分、可能性と共にデメリットも未知数。オンラインはうまく活用
しながらも、黄色信号が点滅し始めたら一度止まって見直す必要がありそうだ。