ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

『医療格差 (川田龍平) 角川SSC新書』感想 

[内容]

日本の医療の裏側と問題点を取り上げ、必要な対策を提言している。

[感想]

著者は子供の時に “薬害エイズ事件”の被害者となり、偏見と差別の中19歳

で実名を公表。現在は参議院議員として、様々な問題に取り組んでいる。

薬害エイズ事件=1980年代にアメリカから輸入された血友病の治療薬に

         より、約1800人がHIVに感染。大勢の人が亡くなった。

 

日本で大きな問題となった薬害は他にも色々あるが、本書では報道だけでは

知り得ないことも多く書かれており、重い副作用のために海外で中止された

薬が、日本ではその後も使われ続けたケースの多いことに驚く。

 

著者は「患者の立場からの医療政策の障害は、医師、製薬会社、医療機器

メーカー、官僚の癒着構造だ。」と言い、薬害エイズ事件の原因の一つに

「情報の隠蔽」を挙げている。

 

近年は院外薬局で薬を貰うのが殆どだが、これは「病院が必要以上の薬を

処方して利益を得る」のを抑えるために推進されたのだとか。

その効果については賛否両論のようだが、患者としての私の実感は、薬代が

高くなった上に、わざわざ薬局に行くのは二度手間でしかない。

 

他に「被保険者保護法は患者を“人体実験”から守る。」「障害者自立支援法

により、障害者は作業所で作業する度に利用料を取られるようになった。」

等々、興味深い話が多数。

 

つい先日WHОのテドロス事務局長が、世界のコロナワクチンの75%がわずか

10か国に集中していることを指摘して、「恥ずべき行為だ」と批判していた。

正に世界レベルの医療格差で、これが世界の現実だと思うとやるせないが、

昨日「途上国へのワクチン供与に関するサミットで日本が8億ドルの追加拠出

を表明」「参加国からの拠出で今年の目標83億ドルを達成」という報道があった。