[内容]
現役のアナウンサーが、メディアに報道のあり方を問いかけた本。
副題『ラジオニュースの現場から』
[感想]
著者は自ら現場で取材もする、ラジオの人気アナウンサー。
本書で取り上げられているのは、権威や権力との向き合い方、基地と自衛隊・
安全保障問題、災害被災地での取材方法、等々。
「マスコミは最初に結論ありき『模範解答』ありきで報じているのではないか」
と、著者が現場で取材した事実と照らし合わせながら、マスコミ関係者に問う。
又、国民を代表しているかのようなマスコミの論調と、本筋を論じるのではな
く対案を提示するのでもなく、責任問題の追及に重きを置いた報道姿勢にも疑問
を呈している。
被災地のその後の報道に関しては「殆どの風景が平穏であっても、被災地っぽ
い絵を探すのは、実情を伝えているとは言えない。」「一体風評を広めているの
は誰か」…と厳しい意見が続く。
報道を鵜吞みにするなというのはその通りで、最近ではネット上の蔑称である
“マスゴミ”という言葉も、すっかり定着した感がある。
偏向報道に関しては、私はテレビの “国際報道の偏り” も気になる。
日本との関係が強い国の報道が優先されるのは当然だが、どのテレビ局も同じ
話題ばかり。ソースが同じ通信社だから、コストに制約があるから等々、局側
にも色々事情はあるのだろうが…。
以下に、今も頑張り続けている人達の話を2つ抜粋。
◎「沖縄の自衛隊は、不発弾処理の為にほぼ毎日緊急出動の連続で、毎年1500
件前後の数を処理している」
※今迄に何度も爆発事故があり、3日前にも「配水管工事の作業中に不発弾が
破裂。」という報道があった。幸い大事には至らなかったが、全てを処理する
には100年近くかかる計算だという。
◎「震災後の福島のお米には特別な検査体制が敷かれていて、『全量全袋検査』
が行われている。日本の審査基準は世界的にも厳しいものだが、福島のお米
もそれをしっかりクリアしている。」
※現在は、5年間基準値超過が無いことから避難指示等があった一部の地域だけ
全量全袋検査を続け、その他の地域はモニタリング検査に移行しているそうだ。
本書では他にも、「モリカケ」「香港のデモ」「経済と自殺者の関連」など、著者
直々の取材による興味深い事実が色々取り上げられている。