[内容]
熊森協会が立ち上げられた経緯と現状が、会長(出版時)により綴られている。
[感想]
始まりは、教師だった著者が『理科だより』に載せた記事を読んだ生徒の、
「クマ、絶滅やって 可哀想やんけ。」の言葉からだったという
熊と遭遇する恐怖や、畑を荒らす動物を見過すわけにいかないのは、私にも分
かる。だが「本当に殺さなきゃいけなかったの?」と、動物が哀れになる報道
も多く「殺すのが一番金も手間もかからない。」と言った人の言葉が胸に刺さる。
そんな状況のもと、著者と共に考え、調べ、行政に掛け合った教え子達。
しかし行政は「女、子供の感傷」とけんもほろろで、マスコミは逃げ腰。中傷
も多かったという。現状を見ると、これからもこの会の活動には困難が付きまと
いそうだ。
以下、本書より抜粋。
・1999年、被害が無くとも個体数調整と称して、鳥獣の大量捕殺が可能になった。
・熊の為にドングリを運んだら、生態系をかく乱する自然破壊行為とバッシング
された。後に、批判の先頭に立った学者は謝ってくれたが、失った信用は-(略)。
会のHPには
「クマなどの大型野生動物が棲む奥山水源の森の再生に取り組む、わが国で唯一
の全国組織の実践保護団体です。」
「クマは電気柵で100%防げます。駆除ではなく防除を!」
と書かれており、山の動物だけではなく自然保護に力を注いでいるのが分かる。
※ “生物多様性の保全”を理由に、世界中で猫や鹿など多種の動物が殺処分さ
れていることに、科学者を含む多くの人がその問題点を指摘している。