ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

賞味期限のウソ (井出留美) 幻冬舎新書

[内容]

賞味期限が短く設定される理由とその問題点、解決方法が解説されている。 

副題は『食品ロスはなぜ生まれるのか』

[感想]

前半は、食品の正しい賞味期限、保存方法、調理方法などの解説で、食生活を担う

人には必要不可欠な内容。 後半はロスを出さない為の提案や、国内外の様々な

取り組みの紹介で、是非日本中に広がってほしいと思う事例が幾つもあった。

 

例えばフランスは2016年に、1日180食以上提供するレストランに対し、ドギーバッ

グの提供を義務化し、大手スーパーで売れ残った食品を廃棄する事を法律で禁止。 

ドギーバッグ = 客の食べ残しを詰めて客が持ち帰るための袋や容器のこと。

 

日本国内の事例としては 「15年でごみを半分近く減らした京都市の取り組み」

お供え物をシェアする「おてらおやつクラブ」 家庭で余っている食べ物を持ち寄る

「フードドライブ」 食品ロスを支援に変える「フードバンク」 などが紹介されて

いる。

 

被災地で、「避難所の人数にちょっとだけ足りないから」「メーカーが違うのは

平等じゃないから」という理由で配られなかった食品がある。

上記は本書に書かれていたエピソードだが、これにも驚いた。

 

数か月前、毎年大量に廃棄されてきた“恵方巻”が今年はその量が大幅に減った、

という報道があった。これは、去年(2019年)の10月に「食品ロス削減推進法」が

施行され、農林水産省より小売業界に対して「需要に見合った数を売るように」と

いう通知が出された成果だという。

 

著者は本書で食品流通の問題点を指摘し、一方で消費者には「生産者や販売者に

無理を強いない」と反省を促している。それは確かにその通りなのだが、まずは

売る側の“廃棄ありき”の販売姿勢を正すのが先決のようだ。