[内容]
生まれた時からずっと、一家で乞食をしていた台湾の男性の自叙伝。
[感想]
台湾で100万部近くのベストセラーになった、というのが頷ける内容で、
一気に読んでしまった。
2人の間には12人の子供がいたが、出生届は出されていない。
一家の寝床は無縁仏の墓場で、著者も姉と一緒に弟妹の世話をしながら、
乞食として生きてきた。
10歳の時にやっと学校に通えるようになったが、その学費のために、彼の姉
は父親によって女郎屋に売られていた。その時の姉の年齢は、わずか13歳。
学校では汚いと苛められながらも、勉強も運動も常にトップ。ノートは買えない
ので、地面に字を書いて勉強した。
叔母の世話で初めて出来た“我が家”は、長年放置されていた豚小屋だった。
しかしその後も、下校後夜中まで父親と共に物乞いをしながら、家族の世話を
する生活が続き、13歳の時には疲れ果てて自殺も考えたという。
高校はアルバイトをしながら卒業し、現在は会社の工場長。
結婚の時は相手の親の猛反対にあったが、無事に結婚できて子供もおり、
1999年に、台湾各界で活躍する人に贈られる「十大傑出青年」に選ばれている。
年端もいかない子供に、「死人は少なくとも生きてる人ほど酷ではない。」と思
わせるような仕打ちをする“普通の人達”に、やりきれなさを感じながら読んだが、
著者の並大抵ではない精神力と忍耐強さ、勤勉さには本当に敬服した。