ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

乞食の子 (頼東進-ライ・トンジン) 小学館

[内容]

生まれた時からずっと、一家で乞食をしていた台湾の男性の自叙伝。

[感想]

台湾で100万部近くのベストセラーになった、というのが頷ける内容で、

一気に読んでしまった。

 

著者の父親は全盲で、母親は重度の知的障害者

2人の間には12人の子供がいたが、出生届は出されていない。

一家の寝床は無縁仏の墓場で、著者も姉と一緒に弟妹の世話をしながら、

乞食として生きてきた。

 

10歳の時にやっと学校に通えるようになったが、その学費のために、彼の姉

は父親によって女郎屋に売られていた。その時の姉の年齢は、わずか13歳。

 

学校では汚いと苛められながらも、勉強も運動も常にトップ。ノートは買えない

ので、地面に字を書いて勉強した。

 

叔母の世話で初めて出来た“我が家”は、長年放置されていた豚小屋だった。

しかしその後も、下校後夜中まで父親と共に物乞いをしながら、家族の世話を

する生活が続き、13歳の時には疲れ果てて自殺も考えたという。

 

高校はアルバイトをしながら卒業し、現在は会社の工場長。

結婚の時は相手の親の猛反対にあったが、無事に結婚できて子供もおり、

1999年に、台湾各界で活躍する人に贈られる「十大傑出青年」に選ばれている。

 

年端もいかない子供に、「死人は少なくとも生きてる人ほど酷ではない。」と思

わせるような仕打ちをする“普通の人達”に、やりきれなさを感じながら読んだが、

著者の並大抵ではない精神力と忍耐強さ、勤勉さには本当に敬服した。