ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

『地を這う祈り(石井光太)新潮社』感想

[内容]

アジア各地のスラムの写真に短い解説が付けられた、写真エッセイ集。

[感想]

著者は1977年生まれのノンフィクション作家。国内外の貧困や医療などを

テーマに、数多くの本を執筆しており受賞も多数。

 

見るには覚悟のいる本だ。

(トラウマになる恐れがあるので、中学生以下は見ない方がいい。)

修正もボカシも無い、想像以上に悲惨な写真が続き、何度も手が止まった。

しかし、これらが全て事実であることは、写真が証明している。

 

鎖に繋がれている全裸の知的障害の少年。乞食をするために腕を切り落と

された子供。路上で冷たくなっていた知的障害のある売春婦。ルワンダ

虐殺された人々の骨…等々。他にも誘拐の時に逃げられないよう両親を殺害

させられた少年など、想像を絶する人生を背負わされた人達の写真が続く。 

 

著者がインタビューに答えている。

「現地の人を傷つけてるだけだという批判には、それでもいい-(略)-私は絶

えず答えのない問題を提起する人間になりたい。」

「安全な場所でふんぞり返って、ケチや論だけをでっち上げてる人間にはな

りたくない。」

 

本書では “世界の最底辺”や“絶対的貧困”の中で暮らす人達の現実を突き付け

られるが、どんなに思いを巡らせてみても、当事者ではない私達に深いとこ

ろは分からない。又、この写真を見たからといって何が出来るわけでもないが、

「自分は幸運だ」で終わらせず、ちゃんと見て考えなければいけないと思った。