[内容]
アジア各地のスラムの写真に短い解説が付けられた、写真エッセイ集。
[感想]
著者は1977年生まれのノンフィクション作家。国内外の貧困や医療などを
テーマに、数多くの本を執筆しており受賞も多数。
見るには覚悟のいる本だ。
(トラウマになる恐れがあるので、中学生以下は見ない方がいい。)
修正もボカシも無い、想像以上に悲惨な写真が続き、何度も手が止まった。
しかし、これらが全て事実であることは、写真が証明している。
鎖に繋がれている全裸の知的障害の少年。乞食をするために腕を切り落と
された子供。路上で冷たくなっていた知的障害のある売春婦。ルワンダで
虐殺された人々の骨…等々。他にも誘拐の時に逃げられないよう両親を殺害
させられた少年など、想像を絶する人生を背負わされた人達の写真が続く。
著者がインタビューに答えている。
「現地の人を傷つけてるだけだという批判には、それでもいい-(略)-私は絶
えず答えのない問題を提起する人間になりたい。」
「安全な場所でふんぞり返って、ケチや論だけをでっち上げてる人間にはな
りたくない。」
本書では “世界の最底辺”や“絶対的貧困”の中で暮らす人達の現実を突き付け
られるが、どんなに思いを巡らせてみても、当事者ではない私達に深いとこ
ろは分からない。又、この写真を見たからといって何が出来るわけでもないが、
「自分は幸運だ」で終わらせず、ちゃんと見て考えなければいけないと思った。