[内容]
プロボクサー辰吉丈一郎の自伝・メッセージ。
[感想]
著者は1970年生まれの元WBCバンタム級王者で、通称は浪速のジョー。
本書は41歳の時のもので、生い立ち、自身のボクシング歴、ボクシングに対
する夢と家族への思い、何故現役にこだわるのかが書かれている。
両親の離婚後父親に育てられ、ずっと父親を尊敬してきた。ボクシングは子供の
時に父親に教えてもらい、それ以来の長い付き合いだとか。
並外れた根性の人なのは、全くボクシングを観戦しない私でも想像出来たが、
とにかく一途でストイックだ。
ボクサーとして注目されてる時は、CМの出演依頼などもあったが、それを受けな
かったから、ボクシングを頑張り続けられたという。
「人間には命よりも大事なものがある」…それが子供と妻だと言う。
奥さんとは、アマチュア時代にジムを飛び出してホームレス生活を送っていた時に
出会い、それがキッカケで立ち直ったそうだ。
この若さで「最高の人生だった。」と言い切れるのは、本人の決して諦めない生き方
もあるが、ずっと支えてきてくれた父親と奥さんの存在も大きい。
中学生の頃は突っ張っていて喧嘩もよくしたようだが、読んでる途中で何度も、人と
して大事なことを教えられているような気持ちになった。
網膜裂孔・網膜剥離で何度かブランクの時期もあったが、その度に再起。その後は
事実上引退状態だったそうで、パンチドランカーと聞く。現在はまだ50才。悪化
しなければ良いが…。
私のようなボクシングのことを知らない人間にも、面白い本だった。