[内容]
大乗仏教経典『華厳経』の抄訳本で、華厳の教えが物語の形で説かれている。
[感想]
「生きとし生けるものは全て平等である。」(人間も他の動物も)
「仏法はどんな相手からも学びうるもので、いたずらな苦行はいらない。」
華厳経のこの教えを知った時から、いつか入門書を読んでみたいと思ってい
たが、本書は仏教とは殆ど無縁の私にも興味深く読むことが出来た。
物語の内容は、善財童子が仏教に目覚め、文殊菩薩の導きのもと順番に53人
の善知識(=師)を訪ねて学び、最後には普賢菩薩や弥勒菩薩のもとで悟りを
ひらくというものだ。
だが物語として面白く読むことは出来たが、本書の半分は文語体ということも
あり、仏法の中身を正しくは理解できていないと思う。再読の必要がありそうだ。
下記は、本書の中で特に心に響いた言葉だ。
「いま、この眼前にあって苦しんでる者を救うことができずに、どうして三界
の牢獄にある一切衆生を済度できようか。」
これほど大きな意味ではないが、これで思い出した出来事がある。
社会活動を行ってた人が「個別に関わっていてはキリが無い」と、自分が個人的
に相談されたことさえ、いつも人に丸投げしていたことだ。
確かに“大”を行おうとする時、目の前の“小”に かかずらっていては、そ
れを成し遂げることは難しい。しかし、“小”も出来ない人の 活動は、遅かれ
早かれ行き詰まる…というのが実感だ。