「内容」
著者は刑務所で働いていた心理学者。サイコパスの特徴と多くの事例が挙げら
れている。副題は「身近にひそむ異常人格者たち」
「感想」
本書には著者が10年以上の歳月をかけて開発した、《精神病質チェックリスト》の
概要が載っているが、「専門家以外はこれを自分自身やそばにいる人に使って診断
してはいけない」と警告している。それ程サイコパスを見分けるのは難しいらしい。
サイコパスは自己中心的で、ずる賢く感情が浅い。
嘘つきで暴力的で、共感性や罪悪感が欠如している。
このタイプの人間なら、世の中にいくらでもいる。だが“反社会性人格”とサイコパス
は似て非なるものだそうで、他にも救いようのない特徴や実例が沢山挙げられてお
り、“普通のワル”との違いにゾッとする。
刑務所にはサイコパスが大勢収容されており、彼らの累犯率は高い。
しかしサイコパスの多くは 刑務所にも他の施設にも入っておらず、しかもこの
“隠れ有罪サイコパス”は、サイコパス犯罪者と殆ど同じ行動をしているという。
著者は、サイコパスが生まれる原因は虐待や社会的な問題などではないと考え、
生物学的・遺伝的要因 を疑っている。
何故なら、彼らの殆どが幼少時からその片鱗をうかがわせているからだ。
グループセラピーや心理療法は逆効果になる事が多いそうで、新たなプログラム
では共感能力や良心を育てる事にはあまり重きを置かず、社会が許容できる範囲
で欲求を満足させるために、自分の力や能力をどのように使ったらいいのかを教え
るという。又早期の予防が必要だとか。
1995年出版で少し古いが、著者の体験に基づく話なので説得力があった。