[内容]
[感想]
知り合いに躁うつ病の人がいる。普段は元気で真面目に働いているが、時々
ひどい落ち込みと不安感に襲われるようで、見ていて可哀想になる。
しかし別の知人の場合は、うつ病の診断で数か月休職していた間も、趣味の為
に外出していて、うつ病にも色々なタイプがあるんだなと驚いたことがある。
著者は全てを否定してるわけではないが、予想以上に厳しい内容で「うつ病の歴
史的経緯」「異質性」「様々な説」を、かみ砕いて解説した後にこう書いている。
『新型うつ病とは、逃避的な傾向によって特徴づけられる、抑うつ体験反応。』
『従来型の人は自分を責める傾向があり、仕事を中々休みたがらない。
対して新型の人は他人を責める傾向があり、自ら求職を求めてくる。』
新型の生まれた要因として「精神病理学の衰退に伴う診断方法の変化」「副作
用の少ない抗うつ薬の出現」などが挙げられている。
障害年金の為の診断書を希望して来院するケースが後を絶たず、中には診断書に
休職の期間まで指定して希望する人もいるとか。
著者はまた、ごく軽い症状であったり自分の都合で休んだに過ぎない人が傷病手
当金を貰ってる場合は、それは病気を隠れ蓑にした利権ではないかとも言う。
他にもうつ病が労災問題となったケースなど、多くの実例が挙げられている。
最終章では、現代の風潮に切り込んでいる。うつに限らず最近は少し調子が悪く
なると、何か病名をつけてもらって安心したがる傾向があるそうで、
「時には自分で悩み、苦しんで-(略)-問題を自分自身の性格としてとらえ、克服し
ようとする努力も、必要な場合があると思います。」と締めくくっている。