ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

『生物多様性のウソ(武田邦彦)小学館』感想  

[内容]

環境活動に疑問を呈し、その理由を歴史・現状・未来考察によって解説。

 [感想]

著者は、希少動物の保護や何の罪もない外来種を駆除する、「生物多様化」と

地球温暖化」の活動はエゴにまみれていると言う。

 

地球の環境を守る為の活動には様々なものがあるが、その中身は 「発展途上国

に犠牲を強いる先進国の人達だけのメリット」 「お金儲け」 「人間だけの利害」

を求めるものが殆どで、中には冤罪もあると多くの実例を挙げて解説。

 

CО2削減説の間違い、トキの絶滅とテレビ局が飛ばしたヘリコプターの関係、

ブラックバス駆除の経緯…等興味深い話が続くが、その中から印象深かった

ものを幾つか。

 

ダイオキシン」…人間が作り出した史上最強の猛毒と騒がれたが、研究の結果

         毒性はあるが人間にとって毒物とは言えないことが判明。

「DDТ」…DDТは昆虫にだけに効く優れた殺虫剤だが、誤解により自然破壊を警

   告されて製造を中止。その為に開発途上国マラリア罹患数が逆戻りした。

「資源の寿命」…鉱山会社が発表する資源の寿命年数のカリクリを解き明かし、

        石油に似た炭素資源を計算すると、500万年分はあると説明。

 

著者は 「そもそも人間も自然の一部であり、人間活動が他の生物を圧迫し絶滅

に追いやってもそれは自然現象の一部である。」と言う。

随分と冷めた物言いに聞こえるが、本書からは環境活動への憤りと同時に自然

に対する愛情もしっかり感じられ、実際「100%人間のためではなく、90%ぐらい

を人間のためという基準に置き換えてみてはどうか。」という提案をしている。

 

環境問題と利権に関しては、昔から多くの人が間違いや嘘を指摘している。

専門的なことは分からないが、私は、自然や動植物を金儲けの基準でしか見られ

ない人々と戦い、生態系の破壊を加速させてはならないと頑張る人達を(一部を

除き)応援したい。