[内容]
環境活動に疑問を呈し、その理由を歴史・現状・未来考察によって解説。
[感想]
著者は、希少動物の保護や何の罪もない外来種を駆除する、「生物多様化」と
「地球温暖化」の活動はエゴにまみれていると言う。
地球の環境を守る為の活動には様々なものがあるが、その中身は 「発展途上国
に犠牲を強いる先進国の人達だけのメリット」 「お金儲け」 「人間だけの利害」
を求めるものが殆どで、中には冤罪もあると多くの実例を挙げて解説。
CО2削減説の間違い、トキの絶滅とテレビ局が飛ばしたヘリコプターの関係、
ブラックバス駆除の経緯…等興味深い話が続くが、その中から印象深かった
ものを幾つか。
「ダイオキシン」…人間が作り出した史上最強の猛毒と騒がれたが、研究の結果
毒性はあるが人間にとって毒物とは言えないことが判明。
「DDТ」…DDТは昆虫にだけに効く優れた殺虫剤だが、誤解により自然破壊を警
告されて製造を中止。その為に開発途上国のマラリア罹患数が逆戻りした。
「資源の寿命」…鉱山会社が発表する資源の寿命年数のカリクリを解き明かし、
石油に似た炭素資源を計算すると、500万年分はあると説明。
著者は 「そもそも人間も自然の一部であり、人間活動が他の生物を圧迫し絶滅
に追いやってもそれは自然現象の一部である。」と言う。
随分と冷めた物言いに聞こえるが、本書からは環境活動への憤りと同時に自然
に対する愛情もしっかり感じられ、実際「100%人間のためではなく、90%ぐらい
を人間のためという基準に置き換えてみてはどうか。」という提案をしている。
環境問題と利権に関しては、昔から多くの人が間違いや嘘を指摘している。
専門的なことは分からないが、私は、自然や動植物を金儲けの基準でしか見られ
ない人々と戦い、生態系の破壊を加速させてはならないと頑張る人達を(一部を
除き)応援したい。