[内容]
多くの昆虫の生態について、様々な角度から解説されている。
[感想]
4つの章に分けて、ひたすら昆虫の話が続くのだが、これがとにかく面白い。
昆虫の社会生活は人間社会の縮図だそうで、表紙裏には
「私たち人間がやっている行動や、築いてきた社会・文明によって生じた物事は、
ほとんど昆虫が先にやっている。」と書かれている。
『 狩猟、採集、農業、牧畜、建築、戦争、階級制度、共生、寄生、略奪、
繁殖の為の贈り物、略奪愛、同性愛、子殺し、クローン増殖、他 』
これらについて、それぞれ実例で解説。
写真も豊富で、カラーは最初の8頁だけだが、擬態により見分けがつかない程
そっくりな虫達、アリに触角の第一節をくわえて運んでもらう虫等、インパクト
が大きいものばかりで見入ってしまった。
「蛾の幼虫が葉を食べると、植物の成分と幼虫の唾液が混じって、寄生蜂を誘引
する化学物質が作られる。」等、大部分の植物には、昆虫にとっての毒が防御
物質として含まれているそうで、著者がこれを「殺し屋や護衛を雇う植物はかなり
多い。」と表現しているのには、ちょっと笑ってしまった。
怖すぎる虫もいる。
・ハリガネムシは、寄主を水のある場所まで移動させて、腹部を破って出てくる。
・ある種のアリはヒアリに寄生して、成熟するとヒアリの頭を切り落として出てくる。
・クロアナバチは、捕まえたツユムシに麻酔を打ち込み、卵を産んで埋める。孵化
した幼虫はそのツユムシを殺さない程度にゆっくりと食べて成長する。
強烈なものばかりピックアップしたが、感心する話が殆どで子供も楽しめると思う。