[内容]
自衛隊員と先の大戦で戦場に散った兵士達を中心に、彼らの霊体験と不思議現象
が数多く紹介されている。
[感想]
著者は元航空自衛隊のパイロットで、退官時には部隊を指揮・統括する最高位で
ある空将の地位に就いていた人。
「霊について議論するつもりは無い。経験したことをありのまま書き上げた。」と
のことだが、制服系公務員のこの手の話は珍しく、またオカルトとして揶揄する人
もいるのに勇気があるなあ…というのが率直な感想だ。
この本のもう一つの特徴は、亡くなった兵士達への敬意と、彼らの無念を思いやる
心で、戦争体験の無い私にも胸に迫る場面が沢山あった。
まだ子供だった著者が、この世には目には見えない何かがある…と感じるようにな
ったのは、母親と飼犬のある出来事がキッカケだった。
戦時中のこと。食用にするために「飼犬を提出せよ」という命令が下り、著者の家
の犬も無理やり連れて行かれた。その時母親が「エスは絶対に殺させない。必ず帰
ってくる!」と言って、毎日神棚と仏壇に祈り続け、10日程したら本当に犬が逃げ
帰って来たそうだ。
多くの人はこれを「そんなの偶然だよ。」と言うだろう。しかし私が思ったのは
「やったな。このお母さんは本物だな。」だった。
本書では自衛隊関係者だけではなく、著者自身やジャーナリストの青山繁晴氏を始
め一般の人達の霊体験や不思議体験、その時の彼らの心情も多数紹介されている。
内容は幽霊の目撃や臨死体験など様々だが、その中から印象深かったものを一つ。
ある夜のこと。自衛隊員のA氏が交通事故に遭い、瀕死の状態で病院に運びこまれ
た。その時に、事故を知る筈の無い別の隊員から「A三曹が事故に遭わなかったで
すか?」という電話が入り、何故知ってるのかと問うとこんな事を話し始めた。
「彼が冥途に引き込まれそうになっている夢を見、そのことを祖母(イタコ)に話す
と『まだ大丈夫。生霊だよ。』と言って、時空を超えてAを助けに行きました。」
(その後A氏は回復)
著者はこういった霊的な現象に関しては、科学的な視点で考察することも大事だ
と考え、「神の定義」「科学とは」「生命とは」「幽体・エーテル体とは」等々、
専門家の考えや、ネット、過去のディスカッションでの意見を紹介しながら考察
し、「予測が科学的といえども、絶対的な確信は危険である。」と結論付けている。
あの八甲田山と硫黄島の話は、やはり強烈だった。この2つも昔から色々な人が霊
現象を取り上げており、本書でも胸痛む話が沢山綴られていた。
※八甲田山では、雪中行軍の途中で陸軍の歩兵199名が遭難死。
硫黄島では約2万人が戦死し、滑走路の下には今も日本兵の遺骨が残っている。
この他、各地の古戦場には長年鎮魂を続けている人達がおり、彼らの思いと不思議
な話も幾つか紹介されている。
長くなるので割愛したが、本書では兵器や戦闘機、航空自衛隊の内部の話、三島由
紀夫と楯の会など、自衛隊ならではの話も沢山取り上げられており、著者が2人の
超能力者に導かれた体験と、国内外の“超感覚的知覚”に取り組む人達のことは特に
興味深く読ませてもらった。