ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

単独親権が共同親権に変わったら 

1947年以来77年間続いた“単独親権”が、今年5月に民法改正案が成立して、2026年

までに“共同親権”が施行される見通しとなった。

共同親権=離婚した父母が共に親権を持ち、子供の監護や教育・財産管理など

      に関する権利・責任を双方が負うこと。

 

今までの単独親権制では、親権を持たない側が子供と会わせてもらえなかったり、

逆に養育費の支払いを拒否するなどのトラブルが多かったのと、最近は国際離婚

の際の「子供の連れ去り」問題もあって、審議が続けられていたという。

 

共同親権によって何が変わるか。

「養育費の請求について新たな制度創設や権利付与がなされる。」

「面会交流の早期の申立てや親族による申立てが可能になる。」  

他にも「親権争いが少なくなる」「子育ての負担が均衡になる」など、様々なメ

リットが言われている。

 

海外では離婚後の共同親権を認めている国が多数派で、日本では親が離婚した未

成年の子どもは毎年数十万人にも上ることを考えると、共同親権の法制化は大き

な前進のように見える。

 

しかし「子どもへの負担が大きい」「遠方への引っ越しが難しい」など幾つかの

デメリットもあり、この法案に反対する人は多い。

今年4月には、国会前で共同親権に反対する約700人規模のデモ集会もあった。

 

彼らが特に問題にしているのは、

“DVやモラハラの被害者である親子に危険が及ぶ” ということ。

 

アメリカでは2008年〜2021年に、離婚後または別居中に一方の親によって殺さ

れた子どもの人数が770人以上にも及ぶという。

日本でも2017年に長崎県で、2歳の息子を離婚後面会交流に連れて行った母親

が、父親に刺殺されるという事件が起きている。

同じ年に兵庫県では、離婚後面会交流中に父親が4歳の娘を殺害後に自殺した。

 

「離婚後共同親権に反対する市民の会」というのがある。以下にそこのHPに書

かれていた内容の一部を抜粋

 

・親子関係は多様であり、別居親が虐待やDVの加害者である場合などは、面

 会交流が子どもの利益を損なう危険性は高い。

・DVがある場合は裁判所の判断で単独親権となる予定だが、DVを見抜くこと

 や真の合意かどうかを判別するのは裁判所であっても困難である。

・単独親権でも子供に会うことはできる。

・欧米諸国でも、離婚した両親が均等に監護をしているのは少数である。

・親権争いや養育費不払いが減るどころか、紛争は増えるだろう。

 

こんな意見もあった。

「法的な権利や子どもを利用し、離婚後も続くDV。国は守るどころか、加害者

 との交流を強要しています。DV・虐待加害者と同じことを、国がするべきで

 はありません。」

 

ちなみに共同親権が導入されたとしても遡及適用はされず、既に離婚をして単独

親権になっている人が共同親権に変更されることは無いという。また事実婚の場

合は共同親権が認められないそうだ。