[内容]
マスコミの報道や、国内・外機関の発言の裏に隠された真実を指摘し、歯に衣着せ
ぬ持論を展開。副題『世間にはびこるウソを見抜く』
[感想]
著者は生物学者、早稲田大学名誉教授。『ほんまでっか⁉TV』のコメンテーター。
本書はメールマガジン「池田清彦のやせ我慢日記」に加筆・編集したもので、考察
の対象は、政治・経済、医療、動植物、AI他あらゆる分野に及ぶ。
「年金の財政が破綻することが分かっている政府は、平均寿命が100歳になるとウ
ソをついて、高齢者を働かせようとしている。」…こんな風に随所で政権をめった斬
りにしているが、まあ平均寿命100才説を信じてる人は殆どいないだろう。
ネット上には「未来はAIに支配される」などの言葉が飛び交っているが、著者は
「未来は予測できても作ることはできない。」とバッサリ。AIのことはよく分から
ないが、全てをAIで判断する世界は、一つ間違えると恐ろしい事になりそうだ。
著者はベーシックインカム肯定派で、そのためには経済に関する常識をひっくり返
す必要があると提言。しかし「今の日本人を見る限り大半の国民は無教養の烏合の
衆になりそうな気がする。」とも言っており、これは当たっていそうな…。
「何故大学の授業料はかくも急上昇したのか。」「高等教育を市場原理に任せれば、
国力は衰退するに決まっている。」…と、日本の教育界を本気で憂えている。
ちなみに日本の公的な支出の中で教育費が占める割合は、OECD(経済協力開発機構)
加盟国の中で最下位だったとか。(2024年現在は、下から3番目)
「メガソーラーがもたらす悪夢」…著者と同じように多くの人が、山林の伐採など
による自然破壊に抗議しているが、補助金が出るなど国の強い後押しがあるので、
そんなことは“どこ吹く風”状態だ。近い将来、メガソーラーパネルが瓦礫となる日
が来ると言われているが、その時国はどう対処するつもりなのだろう。
『動植物散策』の章では、虫を始め動植物の面白い話が沢山あったが、考えさせら
れることの方が多かったかもしれない。
「外来種というだけで悪の権化のように言われている。」…この言葉通りで、外来種
の根絶やしに躍起になる国の姿に疑問を感じ、容赦なく殺される動物を哀れに思う
人は大勢いる。(外来種については著者の別著『生物多様性を考える』に詳しい)
本書ではこの他に、
・捕鯨から撤退した国々の本当の理由。
・EUで基本的に使用禁止されている農薬が、日本では大量に使われている。
・健康診断は必要ない。
等々、新聞やテレビだけでは知り得ない事や、反論が多そうな事も色々論じられて
いる。