ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

生命は「与える」と強くなる (新原豊) サンマーク出版

「内容」

難病である鎌形赤血球症の治療薬を開発した日本人医師が、医療を通して人と

しての生き方や考え方を説いている。 

 「感想」

著者は癌の専門医で研究者。

口絵に並ぶのはケニアの子供たちで、全員、鎌形赤血球症の患者だ。

 

・鎌形赤血球症 = 遺伝性の貧血病で、赤血球の形状が鎌状になり酸素運搬

 機能が低下して起こる貧血症。 (鎌状赤血球貧血症ともいう)

 

この子達は遺伝子の異常によって“想像を絶する痛みを伴う病”を発症し、殆どが

成人前に亡くなってしまうという。

本文を読みながら何度も、この子達の辛さを思いながら写真を見つめた。

 

病気・治療・研究、そして心のあり方について、多くの事例と共に語られているの

だが、患者や研究に対しての姿勢が、とてもひたむきで謙虚だ。

 

体に軽く触っただけで疾患を見ぬく医師など、不思議な話も幾つか書かれており、

何か大きなものに繋がっている意識や自覚の大切さを説いている。

 

以下は、ビッグバン以前の宇宙は“無”だったという説に関しての、著者の考察。

 

「つまり人間が 何も無い状態を考えにくいという事実は、始めには何も無かった

 のではなく、全てが 始めからあったことを暗示していると…(略)。」

 

「反対に私たちは、生命は有限でありながら、永遠 について想像できます。(略)

それは、生命には本来 永遠 を知る心が備えられているからだと、私は思うのです。」

 

楽しく考えさせられることも、いっぱいの本だった。