[内容]
難病を発症した女性が、ミャンマー難民研究と、自分の病気を綴ったベストセ
ラー本。 「わたくし、つまりNobody賞」を受賞。
[感想]
闘病中にウェブに書いていたものを書籍化。壮絶な内容だが、著者の逞しさと
ユーモアのある文章のお陰で、一気に読むことが出来た。
著者は大学在学中に、ミャンマーの難民援助活動に参加。大学院でその研究を
していた25歳の時に、突然自己免疫疾患系の難病 “筋膜炎脂肪織炎症候群“
と”皮膚筋炎”に罹患。
高熱や全身の激痛、強い倦怠感に苦しめられるようになり、そのことを
「難民キャンプで苦しむ人たちの姿をまざまざと見てきた-(略)-いくら旅を続けよ
うが、他人事だったのかもしれない。」と告白している。
1年に渡る病院めぐりと様々な検査の末に、やっと希少な難病だということが分
かったが、治療法が確立されておらず、対症療法に耐える苦しい日々。
麻酔なしの筋生検、お尻の一部が空洞化、強い薬の副作用等々で、何度か抑う
つ状態に陥ってしまうが、それでもただ嘆くだけでなく、投げやりにもならず、
ひたすら前向きに生きるパワーが凄い。
それにしても、この状況でよくこんなユーモアを交えて表現出来るなと、感心しな
がらも痛々しかったのだが、著者は後日のインタビューで 「とにかく読み物として
面白いもの-(略)-誰でもどんな読み方でも出来るものしたい。」という思いだった
と語っている。
病院関係者の他、著者の両親、友人、そして恋人には随分と助けられており、本人
の感謝と反省の弁を読むと、他にも色々あったのだろうなと察せられる。
著者は今37歳で、現在は医療社会学の研究者として仕事をしている。
社会保障制度や医療のあり方についても、考えさせられることの多い本だった。