私がまだ実家で暮らしていた若い時のこと。夜1人で歩いていたお婆さんが、通
り魔に刺されるという事件が起きた。
お婆さんが家に帰り着いた時に、家族が脇腹からの大量の血に気付いてすぐ病院
に運んだが、結局出血多量で亡くなった。
新聞によると、お婆さんは「そういえばさっき若い男とすれ違った時にドンとぶ
つかられた。」と話していたそうで、何故か痛みは感じず、そのため包丁で刺され
たことにも気付かずに歩き続けてしまったのだとか。現場は我が家からは徒歩で
20分程の近場だったので、周囲の驚きもひとしおだった。
日本では通り魔による殺傷事件が年平均6~7件起きているそうで、実行犯の多く
は若い男だが、今年1月には、20代の女がJR山手線の車内で4人の男性を刃物で
切りつけて大怪我をさせるという事件が起き、世間を驚かせている。
2016年に相模原市の知的障害者施設で多くの人が殺傷された時、遺族の意向によ
り被害者は(一部を除き)匿名で発表された。それは障害のある身内を恥じたからで
はなく、家族に重い障害者がいることで差別を受ける現実を踏まえての決断だった
という。
凄惨な事件が起きると、被害者とその遺族は報道機関によって二次被害を受ける。
大勢のマスコミ関係者が被害者家族の家に押しかけ、プライバシーが損なわれる
だけではなく、加害者の虚言を真に受けた内容や、ある事無い事を書く雑誌も少
なくないからだ。加えて一部周囲の人間による、心無い陰口が耳に入ることも。
こういった被害は加害者家族も同じで、むしろもっと厳しい境遇に追い込まれ命を
絶つ人も少なくないという。
経済的な問題も大きくのしかかってくる。ある遺族が書いていた。
「加害者は刑務所で、税金によって安全と衣食が保障され、病気の時は手厚い介護
も受けられる。しかし遺族は事件のショックで心身に不調をきたしていても、生活
の為に無理をして働き続け、治療費も自分で捻出しなければならない。」
加害者からの賠償金は、結局は支払われないケースが多いそうで、日本では1981
年に「犯罪被害給付制度」がスタートしているが、欧米と比べるとその額はかなり
低いという。
数か月前にこんな報道があり、関係者はその動向を注視している。
「犯罪被害者等給付金について、警察庁は25日、支給の最低額を大幅に引き上げる
法律の施行令の改正案をまとめました。」
“被害者等支援(寄付型) 自動販売機”というのを、見たことがあるだろうか 。
運営しているのは、全都道府県にある48の被害者支援センターや、それらが加盟
する全国被害者支援ネットワークだが、赤字に陥っている団体も多いという。
随時募集しているそうなので、設置を検討する企業がもっと増えるといいのだが。
最後に、ネットにあがっていた通り魔対策を幾つかアップ。
「音楽を聴いたりスマホ操作をしたりの“ながら歩き”はしない」
「動きやすい服装 ・周囲に注意をはらう ・防犯アイテムを持ち歩く」
「遭遇した時は通り魔に立ち向かうことはせず、すぐ逃げて助けを求める。」
これらは痴漢の被害にも当てはまるので、若い女性は特にしっかりと胸に刻んで
おくのが良いかも知れない。