[内容]
裏社会に深く関わってきた2人が、この世界の内情を対談形式で解説。
[感想]
(著者) 懲役太郎 … バーチャルYouTuber。前科三犯の元ヤクザ。
草下シンヤ … 彩図社書籍編集長で、裏社会取材歴20年以上。
対談の内容は、以下の6項目。
「ヤクザ」「半グレと外国人マフィア」「闇バイト」「薬物」「警察と刑務所」
「ヤクザとこども」
かつてヤクザと政治家・企業は癒着関係にあると言われていた。
しかし「暴力団対策法」(1991年)と「暴力団排除条例」(2010年)の施行により、
そういった関係ではなくなり、広域暴力団は徐々に衰退し始めた。
昔はヤクザのターゲットは企業や団体・夜の世界が主で、裏社会と関わりたくな
ければ、彼らと距離を置くだけで良かった。
しかし今は、狙いを個人に定めた“半グレ”が横行しており、要注意だという。
半グレは「点検強盗・オレオレ詐欺・架空請求詐欺・還付金詐欺」の他、ネット
などを使って一般の人を簡単に裏の世界と繋げてしまい、そのため抜き差しなら
ぬ状態に陥る人が増えている。下記の2つもよくあるケースだ。
・特殊詐欺と闇バイト。SNSやネットの掲示板で募集している。
・「抽選に当たりました!」と連絡が来て口座番号を教えるも、振り込まれたその
お金には返済義務(利子付)があり、被害者は請求が来て初めてカラクリに気付く。
“怒羅権”は、中国残留孤児2世を中心とした史上最凶と言われる半グレ集団で、
中国系のルートが強く、その後マフィア化して準暴力団に指定されている。
日本国内には他にも、ベトナム人、ブラジル人、ネパール人など、国ごとにマフ
ィアが存在しており、国籍を問わず外国人マフィアは自国の料理店を拠点にして
いる事が多いという。(大半の店は無関係)
ネットを見てみたら、ズラッと外国人による犯罪記事が出てきた。
しかし、(国の資料をもとに)外国人の犯罪検挙率は日本人と殆ど変わらないことや、
外国人の大半は問題なく生活していることをあげて、偏見を戒める声も多かった。
ヤクザの子供の多くは劣悪な環境で育ち、彼らが道を外れる確率は高い。
そのため周りから避けられることが多いが、親のせいで虐めにあったり社会から
不利益を被ることもあるそうで、思った以上にしんどいようだ。
本書には他にも、悪徳弁護士、警察と刑務所の内情、暴力団抗争、オウム真理教
とLSDの関係、死体運びに病院が利用される…等、あまりよく知らない話も色々
あって、興味深く読んだ。
以下に、印象に残った話の中から3点抜粋。
・ヤクザの入れ墨は、島送りになった罪人が腕に彫られた墨を消す為に、上から
入れ墨でキレイに装飾したことがルーツとなっている。
・元ヤクザで生活保護を受給している人は結構多い。
・オンラインカジノはヤクザが仕切っている。(国内は勿論、海外の合法カジノで
あっても日本で行う賭博は全て犯罪。間違っても手を出してはいけない。)
懲役氏は、裏社会の今後をこう予測している。
「一層グレーな部分が増えて実態把握が難しくなり、外国人勢力がどんどん進出し
てきて、既存の日本の組織がさらに弱体していく。」