[内容]
問題行動を起こす老人達の実情と、原因・解決策を考察したルポルタージュ。
[感想]
私は若い時、人は齢を取ると良くも悪くも枯れていくものだと思っていたが、
想像と現実は大きく異なり、本書には我欲にまみれた老人が沢山登場する。
本書は7つの章から成り、以下はその内容。
①万引き ②ストーカー ③暴行・DV ④売春
⑤ホームレス ⑥孤独死 ⑦生き地獄化する余生
中でも万引きは非常に成功率の高い“ギャンブル”だそうで、検挙者の3分の1
は65才以上の老人だという。
60才以上のストーカーも珍しくなく、見守り隊の老人が女児に悪戯をするなど
の事件も増えているそうで、これには驚いた。
時々健常な高齢男性の暴力事件が報道されるが、これは元来の性格や気質によ
るものが大きく、被害者は加害者に「殴って黙らせた」という味をしめさせな
いことが大事だという。
昨今、犬猫の多頭飼い崩壊が問題になっているが、動物にすがる老人は動物ボ
ランティアが手を差し伸べても、決して手放そうとしないのが共通した特徴だ
とか。
昔に比べて老人は悪くなっているのだろうか。それとも日本は長寿国になって
老人が増えた分、相対的に犯罪の割合も増えているように見えるのだろうか。
それで思い出したのが、以前知人が高齢の友人(Nさん)とレストランでランチを
した時の話だ。Nさんが突然大きな声で卑猥なことを喋り始め、周りの客から
は変な目で見られるしで、早々にランチを切り上げたことがあったという。
Nさんは数か月後に幻視などの症状が表れたことで、認知症の初期症状だったこ
とが分かったのだが、老人の暴走には案外病気が原因の場合もありそうだ。
孤独死の7割は男性だという。
「問題は一人で逝くことではなく発見されないこと。死後に最小限の面倒しか
かからないように入念な準備をして、1人穏やかに旅立った高齢男女も少なく
ない。」 私は一人暮らしでは無いが、著者のこの言葉は胸に刺さった。
改めて私もしっかりせねばと思うが、果たしてどこまで出来るやら…。