ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

読書感想『裁判官の爆笑お言葉集』(長嶺超輝)

[内容]

法廷で語られた裁判官の名言とコラムの特集。

[感想]

著者はフリーランスライター、商業出版コンサルタント

 

本書の帯に「42万部突破のロングセラー」と書かれている。しかし題名と中身

が違い過ぎて、売れればいいってもんじゃないでしょ…と思ってしまった。ちな

みに多くの本がそうであるように、本書も出版社によってつけられた題名らしい。

 

ともあれ真面目に書かれた本で、裁判の内容は其々1頁にまとめられていて読み

易い。裁判に関するミニ知識的なコラムも面白く、裁判官の言葉には考えさせら

れるものが多かった。

 

本書で最初に取り上げられていたのは、殺人を犯した少年に裁判官が、さだまさし

の唄「償い」を引き合いに出して諭した言葉だ。(当時メディアでも話題になった)

 

「君たちは、さだまさしの『償い』という唄を聴いたことがあるだろうか。この

 唄の、せめて歌詞だけでも読めば、なぜ君たちの反省の弁が、人の心を打たな

 いか分かるだろう。」 

 

当たり前だが裁判官も人の子。各々に個性があり、言葉に人間性が垣間見える。

本書はマスコミで報じられた事件の他、著者が裁判を傍聴した時に印象深かった

言葉が取り上げられており、中には笑えるものもあるが、全て現実に起きた事件

を扱っているので、胸にズシンとくるものが多かった。

 

その中から印象深かったものを3つ抜粋。

 

「暴走族は、暴力団の少年部だ。犬のうんこですら肥料になるのに、君たちは何

 の役にも立たない産業廃棄物以下じゃないか。」

暴走族を抜けようとした少年を、集団暴行で殺害した事件。著者は裁判官のこの

発言を、批判覚悟の言葉だったと推測している。

 

「これはいわば、水咲ちゃんが与える罰です。」

両親が2歳の我が子を虐待死させた事件。著者の「ここでもまた、児童相談所

が関与していたのになぜ…。」の言葉には、同じ思いを持った人が多いと思う。

 

「君の今後の生き方は、亡くなった3人の6つの目が、厳しく見守っている。」

医師が妻と2人の幼い我が子を身勝手な理由で殺して、運河に沈めた事件。

 

その他著者の解説にも「交通死亡事故の遺族は、その悲劇に泣かされた後、加害者

に科せられる刑事罰の軽さにも泣かされると言います。」など、胸に刺さり考えさ

せられるものが多かった。