昔、動物飼養管理士の通信教育を受け、スクーリングに出席した時のこと。
講師の一人が、キッパリした口調でこう言った。
「動物愛護法は動物の為ではなく、人間を守る為の法律です。」
※愛玩動物飼養管理士=民間資格で、動物愛護法とペットの飼養管理を学ぶ。
ちなみに動物愛護管理法には、この法律の目的としてこう書かれている。
『(略) 動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を
招来し-(略)-動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに
生活環境の保全上の支障を防止し、もつて人と動物の共生する社会の実現
を図ることを目的とする。』
以前私の友人が、知人から猫の連続虐待のことを相談されて交番に行ったが、
取り合ってもらえなかった。
動物愛護法はなかなか改正が行われずにきたが、H9年の酒鬼薔薇聖斗事件
を機に大きな変化が起きていたので、今度は公安に「人間にも被害が及ぶの
ではと、皆怖がっている。」と伝えたところ、すぐに動いてくれたそうだ。
捜査の結果、犯人は近所の男だということが分かった。しかし被害に遭った
のは野良猫ばかりだったので、厳重注意で終わったという。“他人の物”で
はない犬猫の場合、器物損壊・動物傷害罪を成立させるのは難しいらしい。
犯人が誰か明かされなかったため、又同じことが起きるんじゃないかと、
住民の不安は拭えないままだ。あの講師が言ったように動物愛護法が人間
の為の法律だというのなら、守る相手が違うのではないだろうか。
最近「猫の虐待が相次ぎ、近隣の住民は不安を募らせている。」という報道
をよく目にする。以前より罰則が厳しくなってはいるが、動物愛護法は果た
してどれ程の効力があるのか…多くの愛猫(犬)家が成り行きを見つめている。