[内容]
著者の10年間の講演内容を、出版社がまとめたもの。
[感想]
固定観念を捨てて自分で考えて行動することと、自ら選ぶことの大切さを説い
ている。そして「何でもいいが、人間が意識して作ったものでないものを、1日
に1回15分でいいから見てほしい。」と言う。
子育てに関しては 「植木と同じで予定を決めれば決めるほど子供の未来であ
る財産は確実に減ってしまい、切っては眺め眺めては切ってきちんと手入れし
ていると、いつの間にか出来るものがある。」と述べている。
私はお葬式から帰った後に塩をまくという行為が嫌いなのだが、著者も「それは
死者に対する差別である。人は死んでも人です。」と言ってるのが嬉しい。
「実は私たちの社会は脳が化けた社会。」「外部の自然が失われることと、我々の
心の中から自然が失われていくのは殆ど平行している。」…等々、言われてみれば
納得の話が多く、楽しく読ませてもらった。
著者は又、杉林は昆虫が棲まないから嫌いだと言う。
昆虫もそうだが、杉林は花粉症や野生動物が餌不足で人里に下りてくる一因と
なっている為、広葉樹林への転換を望む声は多い。
具体的には「全国の国有林を最長50年間、大規模に伐採・販売する権利を
民間業者に与える」というもので、色々な問題が絡み合って簡単にはいかな
いだろうが、伐採の跡地が今後どのように再生されるか、多方面から注目さ
れている。