ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

「地域猫」のすすめ (黒澤泰) 文芸社 

[内容]

横浜市の保健所の職員である獣医師が、ノラ猫を地域で飼育管理する方法と

その事例を紹介。副題は『ノラ猫と上手につきあう方法』

[感想]

著者は “地域猫”の発案者で、本書ではノラ猫の適切な管理方法と、このやり方

が生まれるまでの経緯も語られている。

これは単なる猫愛護の活動ではなく、猫トラブルを無くすための住民活動であり、

ノラ猫との共存の為には、その地域に住む猫好き、猫嫌い、無関心な人、皆で

話し合うことが重要だという。

 

世の中には昔から、ノラ猫に餌をやるだけで、後始末や子猫が産まれることには

全く無頓着な人がいる。地域猫という言葉が全国に広がり出したところ、そういう

人達の中で一部、この言葉を都合よく解釈してトラブルを起こす人が出始めた。

 

著者もそれを憂えて、後年に再度「不妊去勢手術の実施」「餌の管理、フン掃除、

周辺の美化」の徹底を訴え、地域猫というのは、最終的に飼猫にしていくための

過渡期的対策であると述べている。

 

私の知人にも、厳密にいうと地域猫とは違うが、川べりに住み着いた猫達に不妊

手術を施し、子猫と病気の猫だけ引き取って餌やりを続けた人がいる。

(7~8年後、最後の1匹になった時にその猫も家に入れた。)

そんな彼女を悩ませたのは猫嫌いの人と思いきや、明らかに飼猫と思われる猫を

これ幸いとばかりに捨てていく人達だったという。

 

地域猫に反対する人もいるが、ノラ猫だって生きている。不妊手術を施すことで望

まれない命は作らず、しかし今生きている猫たちの天寿は全うさせてやりたいと、

そう考える人は少なくない。目標は飼主のいない猫を減らすことで、今のところ 

これに代わる良案は無いと言われている。