ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

『働きながら、親をみる (和田秀樹)PHP研究所』感想 

[内容]

介護保険をはじめ介護の様々なサービスの解説と、精神科医から見た介護

現場の実態が書かれている。 副題は『自分の人生をあきらめない介護』

[感想]

本書は6章からなり、どれも為になるが「介護離職のリスクに備える基礎知識」

「冷静に考えるお金の話」の章は特に参考になった。

 

親の死んだ後も子供の人生は続く。 親の介護を一人で抱え込んだために起

きた悲劇を幾つか挙げて、「何年続くか分からない介護のために、仕事を辞

めて親の介護に集中することは絶対に勧めない。」と、著者は忠告する。

 

その為にすべき事や出来る事として「介護は情報戦。早めの知識と対策を。」

「場合によっては家事代行会社や宅食サービスも利用。」と、これらについて

の詳細な説明が続く。

 

政府が老人の介護を在宅にシフトしようとしている。時々施設での虐待が

ニュースになるが、データを見ると在宅介護の虐待経験者も驚くほど多い。

在宅介護の期間は平均5年弱だそうで、確かにこれでは介護する側の負担

は相当なものだ。だからと言って、虐待は決して許されるものではないが。

 

一つ一つ肝に銘じながら本書を読んだが、子供達に迷惑をかけたくないと思

っていても、うまい具合にポックリ逝ける確率は低い。場合によっては施設へ

の入居もやむを得ないと考えたが、介護の仕事をしている知人から言われた。

 

「当分は、1人暮らしか余程事情のある人でなきゃ施設に入るのは無理よ。

 金持ち用のホームに入るお金があるなら別だけどね。」

 

老いてなお先立つものはお金で、例えば、支払ってきた介護保険料もトータル

すると結構な額になる。しかしガタのきた体でも、介護保険の世話にならずに

暮らせているのは幸せなことで、このまま“安心料”で終わってほしいと思う。