ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

毒唇主義 (内館牧子) 潮出版社 

[内容]

辛口ながら愛情と良識と、ユーモアもあるエッセイ集。

[感想]

著者は脚本家として多くのヒット作を生み出してきており、その才能は勿論、

大変な勉強家で芯のある人だなと、感心しながら読んだ。

 

駆け出しの頃、脚本家の橋田 壽賀子氏から「出し惜しみしちゃダメよ。」とアドバ

イスされたという。これはアマ・プロに関係なく、創作活動の全てに当てはまるよ

うで、多くの人が「出すほどに新しいアイデアが湧き出る。」と語っている。

ドの付く素人の私には夢のような話だ(笑)。

 

著者は50代の時に「神事としてみた大相撲」の研究のために、東北大学大学院で

学び、修士号を取得。 その時に請われて、同大学相撲部の監督となり、短期間

で好成績をおさめている。

 

横綱審議委員だった人なので相撲に関する話が多いが、相撲は全く観戦しない

私にも興味深い内容だった。

 

大病をした時に医師から言われたという「1本の点滴より、一口のスプーンですよ。」

これは私も実感。昔息子が病気で入院した時や、私も手術の3日後に、やっと

一口飲み込むことが出来たのを機に、体力がよみがえってきたのを思い出す。

 

将棋のアマとプロを比較した言葉 「プロはまさに、人生と生活とプライドをかけた

“勝負師”なのである。命をかけるか否かという言葉は、正にその部分であり、アマ

では持ち得まい。」 これは他の分野にも言えることかもしれない。…けど、アマ

にもプロに負けない本気の人達はいる。

 

他にも、言われてみれば当然ながらも、ハッとさせられることの多い本だった。