[内容]
辛口ながら愛情と良識と、ユーモアもあるエッセイ集。
[感想]
著者は脚本家として多くのヒット作を生み出してきており、その才能は勿論、
大変な勉強家で芯のある人だなと、感心しながら読んだ。
駆け出しの頃、脚本家の橋田 壽賀子氏から「出し惜しみしちゃダメよ。」とアドバ
イスされたという。これはアマ・プロに関係なく、創作活動の全てに当てはまるよ
うで、多くの人が「出すほどに新しいアイデアが湧き出る。」と語っている。
ドの付く素人の私には夢のような話だ(笑)。
著者は50代の時に「神事としてみた大相撲」の研究のために、東北大学大学院で
学び、修士号を取得。 その時に請われて、同大学相撲部の監督となり、短期間
で好成績をおさめている。
横綱審議委員だった人なので相撲に関する話が多いが、相撲は全く観戦しない
私にも興味深い内容だった。
大病をした時に医師から言われたという「1本の点滴より、一口のスプーンですよ。」
これは私も実感。昔息子が病気で入院した時や、私も手術の3日後に、やっと
一口飲み込むことが出来たのを機に、体力がよみがえってきたのを思い出す。
将棋のアマとプロを比較した言葉 「プロはまさに、人生と生活とプライドをかけた
“勝負師”なのである。命をかけるか否かという言葉は、正にその部分であり、アマ
では持ち得まい。」 これは他の分野にも言えることかもしれない。…けど、アマ
にもプロに負けない本気の人達はいる。
他にも、言われてみれば当然ながらも、ハッとさせられることの多い本だった。