20年ほど前のこと。螺鈿細工(らでんざいく)が好きで時々ネットで商品を眺めて楽
しんでいたところ、素晴らしい作品が格安で売りに出されたので私も初めてオーク
ションに参加してみた。
しかし見てる人は見ているもので、大変な人気でジワジワと値段が上がっていった
ため、私は途中でレースを降りて成り行きを見守ることに。
そしてあと数分で時間切れ…という時に、突然バン!と値段が跳ね上がり、結局そ
の人が落札した。それでも(多分)相場よりはずっと安くて、これがベテランのやり
方か…と、面白くもちょっとした驚きだった。
当時私はよく、ヤフオクで買物をしていた。
中古ではなく必ず新品か未使用品と決めていて、毎回“即決”の値段で買っていたの
で、誰かと競うことも特別な問題もなく普通の通販と同じ感覚でいた。
ところがある時、届いた製品の一部に小さな亀裂が入っていて、箱の中に欠片が落
ちていた。迷ったが使用に支障はなかったのと、返品の作業が面倒だったので、強
力ボンドで張り合わせてOKとした。一応出品者にはその旨を報告し、丁寧な詫び
のメールが来たのでこの件はこれで終わりとした。
ネットでオークションやメルカリのトラブルについて調べてみたところ、沢山の事
例が出てきた。多くは不具合によるキャンセルと、支払いや返金に関するもので、
中には詐欺でした…なんてものも。
裁判沙汰になる場合もあり、そこまで行かなくとも結構多かったのが、「訴えるぞ」
と脅迫まがいのことを言われて揉めるケースだ。例えば、
・悪評を書いたら、名誉棄損だと言われた。
・落札後にキャンセルしたら、警察に被害届を出すと言われた。
・ブランド品と思って販売したら偽物で、詐欺だと言われた。 等
中には、返品を拒否したら本当に訴えられた人も。
仕返しや嫌がらせで悪い評価をつける、“報復評価”もよくあるという。
こうしてみるとオークションやメルカリは便利で楽しいものではあるが、出品者・
落札者共に、きちんとマナーを守ることと、時にリスクが伴うものであることを頭
に置いて取引する必要がありそうだ。
もし脅迫めいたことを言われて埒が明かなくなった場合は、弁護士に相談して相手
方に内容証明を送付してもらうなどすると、長引かずに解決できるという。
昨年11月にメルカリから、サポート体制の強化と補償範囲の拡大の発表があった。
返品詐欺など解決が困難なものが対象で、“基本は自己責任”というのは今迄と同じ。
ネットオークションの注意点については、『国民生活センター』のホームページに
詳しく、直接相談にも乗ってくれるそうなので、初めての人は事前に読んでおいた
方が良いかも知れない。