[内容]
元賭博師である作家が、自分の生き方を振り返りながら、人として大事なこと
は何かを語っている。
[感想]
小学生の時からサボりの常習者で、大人の世界に出入りする内に ばくち打ち
となり、よく破滅しなかったものと感心するほど、若い時からハチャメチャな
生活を送っている。
「欲張り過ぎず(相撲でいえば)九勝六敗を狙う」「人生のツキをつかめ」など、
ギャンブルの世界で学んだ著者の感性は独特だ。
しかし書かれてることは至極もっともで、
「誠意や優しさや一本気な善意が、スケールにつながるんだ。」
「生地がずるいということは、器が小さいということだ。」
「勝てばいい、これでは下郎の生き方だ。」
等々、特に劣等生と言われる人に対する愛情が感じられるものが多かった。
仕事の性質上、自分に満足しちゃいけないと考え、一つの借家に3年と居たこと
が無いという。ナルコレプシーという厄介な病を抱えてしまったのに、結婚して
からもハチャメチャな部分はそのままだったようで、最後まで添い遂げた奥さん
はさぞかし大変だったろう。
著者は幾つかのペンネームを持ち、それぞれの名で麻雀小説や時代小説を書い
ており、『麻雀放浪記』は映画化もされている。
奥さんは15歳年下の従妹で、著者が亡くなった後に『宿六・色川武大』を執筆。
妻の目から見た著者はどんな人物だったのか、こちらの方も読んでみたい。
※ナルコレプシー = 睡眠障害の一種で、日中に場所や状況に関係なく突然眠り
込んでしまう病気。