私が30代前半で、飼犬のチビを散歩させていた時のことだ。
2人乗りしてた男子高校生のバイクがスリップして、思いっきり転んだ。
ハンドル操作を誤った自損事故で、他の車がいなかったのは幸いだった。
2人共、アスファルトの上に仰向けに倒れたまま、起き上がれない。意識は
しっかりしていて、2人で「足が折れたようだ。」と言葉を交わしている。
すぐ前の家の人が飛び出してきて、救急車を呼ぶために又家の中に戻った。
車が来ると危ないので、私は高校生のそばにしゃがみ「すぐに救急車が来る
からね。」と声を掛けていた。
この時もう一つ問題が起きていた。事故の瞬間、驚いたチビが全身の力を振
り絞って首輪から頭を外し、全速力で逃げてしまったのだ。迷子になって遠い
所へ行ってしまう可能性がある。夕方間近で、もうすぐ交通量が多くなるので、
下手をすると車に轢かれてしまうかもしれない。私は気が気ではなかった。
そこへ、事故の音に驚いた人が大勢集まって来た。その中に知り合いの女性が
いたので、事情を話して大急ぎで家に帰った。はたしてチビは、庭の芝生の上
で、呑気な顔をしてまったり横たわっていた。私は一気に気が抜けた(笑)。
事故を起こした高校生は2人共、ヘルメットをかぶっていなかった。
(当時はまだ、小型バイクはノーヘルでも違反ではなかった)
バイク事故は衝撃をまともに身体にうけるので、自動車事故に比べて大怪我や
死亡の確率が高い。くれぐれも過信はせず、無理をしそうになった時は、親の
顔を思い出してほしい。