「内容」
イスラム武装勢力に銃撃された、パレスチナの16歳の少女の手記。
副題は「教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた少女」
「感想」
著者は回復後、2014年に僅か17歳にしてノーベル平和賞を受賞し、その堂々
としたスピーチに目を見張ったのを覚えている。
本書は著者の子供の時からの自伝で、パキスタンの歴史や人々の暮らし、タリバ
ンの出現によって次々と起こされる残虐な事件と、国が徐々にタリバンに牛耳られ
ていく様子が克明に書かれている。
「1947年にパキスタンがインドから分断されて自治領になった時、新しく出来た国境
を超えようとして200万人近くが殺された。」
「アメリカはビン・ラディン発見に協力してもらう為、8年間に200億ドルも援助して
いたが、結局パキスタンは何も出来なかった。」
この他にも、タリバンに殺されるのを恐れて、次々と「警官をやめました」「音楽家
をやめました」という広告を新聞に載せた人達のこと等、驚くような話の連続で、
女性たちの虐げられた現状には、私もマララの命をかけた願い通り、全ての国の女性
が教育を受けられる日が来ることを願わずにいられなかった。
400頁以上ある本で、翻訳ものでこの長さだと冗長で読む気が失せることもあるが、
この本はとても読み易かった。
翻訳の上手さもさることながら、共著のクリスティーナ・ラムの力添えがあってこそ
と思われ、少し調べてみたら彼女も凄い女性だった。
※クリスティーナ・ラム = イギリス人。ジャーナリストとして、数々の賞を受賞。
YouTubeの『暗闇の中に見出される希望:戦争のさなかにある女性たち』で、
「私の仕事は戦地に赴くことです」で始まる、彼女の興味深い講演内容が聞ける。