ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

父の祈りを (主演)ダニエル・デイ=ルイス

[内容]

冤罪で15年間投獄されていたアイルランド人男性が、無罪を勝ち取るまでの

実話をもとに作られた映画。   (1993年 製作国 イギリス) 映画賞受賞  

[感想] 

1974年IRA暫定派により、イギリスのギルフォードでパブが爆破された。

逮捕されたのは その時偶々ロンドンにいたアイルランド人の不良青年ジェリーと

その遊び仲間。 更に息子をロンドンに行かせた父親と、ジェリーを自宅に泊めた

叔母までが逮捕されてしまう。

 

当時はアイルランドとイギリスの関係は最悪で、爆弾テロが頻発していた。

彼らは厳しい取調べに屈して、結局白紙の供述書に署名してしまい、裁判によって

全員テロリストとして重い判決が下されてしまう。

 

実は程なくして真犯人が逮捕されていたのだが、当局は糾弾されるのを恐れて

その事実を隠蔽していた。

ジェリーは同じ刑務所に送られてきた真犯人から真実を聞き、父親に一緒に闘う

ことを持ちかけるが、関わりたくないと拒否されてしまう。

 

父親は信仰心のあつい実直な人柄で、再審の為の嘆願書を書き続けていたが、

息子は直接闘おうとしない父親が不満でならなかった。しかし獄中でも尊厳を保

ってきちんと生き、息子に深い愛を示す父親を見て少しずつ変わっていく。

 

刑務所内での差別や父親の獄中死等、辛い年月が過ぎるが、そんな中、彼らを解

放せよと抗議のデモをする人々や、無実を証明する為に尽力する弁護士が救いだ。

 

脚色が過ぎるという批判もあるが、冤罪だったのは事実で、この事件は

“英国の司法界史上最大の汚点”とまで言われているそうだ。

アイルランドとイギリスの関係の根深さ、冤罪事件を起こした関係者が罪に

問われなかったなど、司法と警察権力の怖さを知らしめる映画だった。

 

父の祈りを (字幕版)

父の祈りを (字幕版)

  • 発売日: 2014/02/01
  • メディア: Prime Video