ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

ダルクの日々 (ダルク研究会 編著) 知玄舎

「内容」
依存症の更生施設ダルクに入所した、14名の薬物依存者へのインタビュー集。
副題は「薬物依存者たちの生活と人生」


「感想」
今月の6日、「田代まさし容疑者が覚せい剤取締法違反で5回目の逮捕」と
いうニュースが流れた(本人は容疑を否認)。彼は仮釈放後『ダルク』で職員と
して働いていたが、そこも辞めていて、左様に依存症の克服は難しいようだ。

 

ダルクは民間の施設で、其々が独立運営されており、現在全国に90施設ある
という。インタビューでは各々の生い立ちと、どのような経緯で薬物に手を
出し、どんな風に依存症となり、又どれだけ足掻いたかが詳細に語られている。

 

昔、「覚せい剤やりますか、人間やめますか。」というキャッチフレーズがあった。
(この言葉は依存症患者の人格を否定するものだとして、現在は使われていない。)

 

本書に登場する人達も、“クリーンになったと思ったら 又スリップを起こす”を
繰り返し、刑務所や精神病院に収容されるなど、正に壮絶な人生を歩んでいた。
※「クリーン」=薬物を使ってない期間。「スリップ」=薬物を再使用すること。

 

依存症は病気で、しかも完治はしないという。それはつまり、やめる為には常に
気を張ってる必要があるということで、これは確かに一人では難しいだろう。

 

抑止力として、家庭、仕事、更生仲間を持つ、暇を作らない、等々があげられる
が、家族の被害も甚大で、絶縁される依存症患者がいても無理はないと感じた。

 

以前友人に誘われて、あるイベントでダルクの人達の素晴らしい太鼓演奏を聴い
たことがある。その会場でお世話係をしていた友人が、ダルクの青年と言葉を交
わしたのだが、彼がまだ大学生だと聞いて驚いた。

 

今は 中・高校生の間にも薬物乱用が広がる深刻な状況で、文科省は学校での
『薬物乱用防止教育』を、地域によっては小学校にも推進しているという。