[内容]
ソ連軍の侵攻により、全く違った人生を歩んだ2人の少年の絆と真実の物語。
(2007年 製作国 アメリカ) 映画賞受賞
[感想]
アフガニスタン出身の作家の、ベストセラー小説を映画化したもの。
この国は昔から波乱続きだが、タリバンが出現する前は、(当たり前だが)こん
な普通の生活があったのかと、少し驚きを持って見入った。
1978年、アフガニスタンのカブール。資産家の一人息子アミール(12歳)の母親
は出産の時に亡くなっており、小さい時からそばにいた使用人の息子ハッサンは、
アミールにとっては召使で、兄弟で、そして親友だった。
この地では凧揚げの競技があり、それは相手の凧糸を切って墜落させるというも
ので、2人はペアを組んで、アミールが凧を揚げハッサンはそれを追いかけて見
つけるライト・ランナーの役目をしていた。「君のためなら千回でも」は、この
時にハッサンがアミールの期待に応えて言った言葉だ。
ある時アミールは、凧を探しにいったハッサンが年長の子供達から暴力を受けて
る現場を目撃するが、素知らぬふりをしてしまう。しかも、その後何故かハッサン
に泥棒の濡れ衣を着せてしまい、ハッサン父子はそれが原因で屋敷を出て行って
しまった。この事はその後ずっと、アミールの心の澱となって残ることになる。
それから20年経ったある日のこと。アミールのもとに故郷の知人から電話が来て、
ハッサンが亡くなったことと、彼の息子が行方不明になってることを知らされる。
アミールは急きょ故郷に向かい、ハッサンの息子を探す危険な旅が始まった。
この映画では沢山の過酷な現実を見せられる。民族間の差別と宗教の問題。
金持ちは亡命したが、どこにも逃げられなかった人達。不遇な収容所の子供達。
そしてアミールとハッサンの真実の関係。 最後にアミールが ハッサンの息子に
言った「君のためなら千回でも」が、胸を打つ。 心に残る良い映画だった。