[内容]
孤児となって義理の叔父の家に引き取られた少女の、友情と成長の物語。
(1993年 製作国アメリカ)
[感想]
19世紀後半、メアリー(10才)はインドで暮らしていたが、両親はパーティー
に明け暮れて娘のことは召使に任せっ放し。乳母からお姫様のように仕えら
れてきたメアリーは、尊大な子供に育っていた。
ある日インドに大地震が起き、両親を亡くしたメアリーは他の孤児たちと共に、
イギリスに戻る。港に着いた子供達は、皆優しい親戚に引き取られていったが、
メアリーを迎えに来たのは、亡き叔母の夫である伯爵の屋敷の家政婦長だった。
家政婦長は大変厳しい人で、屋敷を自由に歩き回ることも禁じられてしまう。
頼りの叔父は今も妻の死から立ち直れず、現実から逃げるように旅行の日々。
しかし好奇心旺盛なメアリーのこと。ある日亡くなった叔母の部屋で古いカギを
見つける。それは伯爵が封印した亡き妻の庭園のカギで、これで生活が一変。
この後メアリーと、気の優しい小間使いの弟と、病弱で隔離状態だった伯爵の
息子の3人が協力して、長い間閉ざされていた庭園を少しずつ花園に蘇らせる。
どんどん健康になっていく息子と、本当は親のいない寂しさに耐えていたメアリー。
この2人は不幸な境遇なのだが、金持ちの子供らしく、揃って偉そうで可愛げが
ない。しかし大人に反発し、子供同士の喧嘩もしながら、少しずつ成長していく
様子はいじらしく、良質な児童文学を読むようだった。
時々現れるコマドリが可愛くて、自然に笑みが浮かぶ。田園の風景と花園は、ず
っと見ていたいほど素敵で、エンディングに流れる歌「Winter's Light」も美しい。
子供だけではなく、大人も楽しめる映画だと思う。