[内容]
死刑宣告された中尉と、彼を本部まで連行する兵卒の、波乱の道行の物語。
(主演)ユーリー・ボリソフ (2015年 製作国 ロシア) 映画賞受賞。
[感想]
1942年、ドイツ軍との戦いで一つの部隊が壊滅した。このような事態になっ
たのは、参謀本部に攻撃の再編を求める司令伝達が間に合わなかったから
だと、伝達役を担っていたオガルコフ中尉が銃殺に処されることになった。
独房に収容されたオガルコフの監視役は、アジア系の生真面目なズラバエブ
兵卒だ。しかし刑が執行される前にドイツ軍の激しい攻撃にあい、本部の人間
達は先に後退。ズラバエブはオガルコフを独房から出し、戦場と化した村を
脱出して2人で本部に向かうことになった。
途中何度も戦闘に巻き込まれるのだが、人間味のあるオガルコフに対して、
任務を遂行することで手一杯のズラバエブは、愚鈍なまでに融通がきかない。
しかし道中様々な事が起こり、意識不明だった味方のパイロットを助けるなど、
協力し合う内にズラバエブの心が和らいできて、信頼関係が築かれていく。
逃げるチャンスがありながら、黙って死地に向かうオガルコフと、あくまでも
任務に忠実であろうとするズラバエブ。しかし2人に待っていたのは、思いも
よらない運命だった。
3年後、オガルコフはあの時助けたパイロットと偶然再会する。彼から渡された
当時の新聞には、オガルコフとズラバエブの2人が並んだ写真が大きく載って
いて、胸を打たれる。戦場で友情を育んだ2人の運命がこんなにも大きく違っ
てしまったことに、私も戦争の理不尽さに胸が詰まった。
ちなみにこの映画の邦題はストーリーとは全く関係が無く、稀に見る不評ぶりだ
が、映画自体は、2人の若き兵士の心の機微がよく描かれていて、秀作だと思う。