ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

失踪する人々 (岡崎 昂裕) 宝島社新書

[内容]

著者が興信所に勤めていた時の、家出人捜索の様子が綴られている。

[感想]

失踪の背景と家族のことなど、文章の上手さもあって引き込まれるように読

んだ。著者は本書でライターデビューをしている。

 

・新婚の妻のことで悩んでいた、親と同居の30代の男性。

・大学の入学式前日に失踪した、両親の期待を一身に背負っていた一人娘。

・突然同居になった夫の兄とのアツレキで、義実家から失踪した主婦。

・一人暮らしでタガが外れ、遊び暮らして2浪してしまった大学生。

この4件の話が主で、どれも家族について考えさせられる内容だった。

 

住民票を移すと居場所がばれるため、家出人は自宅近くに居住の本拠を置く

ことが多く、又土地勘のある場所をうろついてるケースが多いという。

 

探偵業は、プライバシーをコソコソ嗅ぎまわる陰湿な連中と思われ、事務所

を借りるのに難色を示されることもあるそうで、実際「探偵の仕事とは人の

裏側ばかり目に付く仕事だ」と言う。

そんな中で、先輩の「人間として、優しさを持って対象者を探さないと、見つ

かるものも見つからないよ。」というアドバイスが響く。

 

本書が出版された前年(H11年)に、家出人捜索願が出された数は約89,000件。

ネットで去年(令和元年)の捜索願件数を見てみたら、84,850件とあり毎年同じ

ような数字が並んでいる。届けの無い人達も入れたら、一体どれだけの人が

行方不明になっているのだろう。

 

著者の「人間の生活には、適当なごまかしが必要な場合もある。」という言葉は、

沢山の失踪家族を見てきた人ならではの言葉だと思った。