[内容]
大手消費者金融を退職後、多重債務者の相談員となった男性が書いた本。
副題は『元サラ金マン懺悔の告白』
[感想]
消費者金融はかつて“サラ金”と呼ばれており、多重債務などによる自殺者が
増えて社会問題になったことがある。当時の裏事情を知りたいと思って本書を
手にしたのだが、借金は一つ間違えると、借りた人だけではなく、貸す側の
人間性も歪めてしまう怖いものだということを、改めて教えてくれる本だった。
前半はサラ金業の実態と、元本返済をさせないよう巧みに利息の返済を継続させ
たり、 取り立てがゲーム感覚となっていった著者の体験を通した、えげつない
回収方法等が語られている。
サラ金会社は銀行や保険会社から超低金利でお金を借りて営業し、しかも債務者
が死亡すると債務をカバーしてくれる保険にも入っているそうで、「サラ金にと
っての金科玉条は、ずばり“客を生かさず殺さず”である。」と言う。
今は“サラ金”と呼ばれていた時代と違って、多重債務に陥らぬよう法律によって厳
しく規制されている筈だが、令和になっても相変わらず弁護士会などの相談窓口は
引きも切らぬようだ。
最近の消費者金融のテレビCМには、「借り入れは計画的に」などの文言が出るよ
うになっているが、このCМの放映そのものに反対する声も多い。
著者は、3か月も滞納させてしまう債務者はやはり“普通”ではなく、身分不相応な
生活はいつか必ず破たんすると警告している。
あと、家族や親族による弁済は本人のためにならないというのは常識だが、この場合
業者からは優良顧客とみなされて、次々と勧誘が舞い込む羽目になるそうだ。
巻末に19頁にわたって、全国の相談窓口が載せられている。