[内容]
ヤングケアラーの実情と海外の事例・日本の取組みを紹介し、今後行政や関係者
がすべき事を提示。副題『介護を担う子ども・若者の現実』
[感想]
著者は成蹊大学准教授
ヤングケアラー(以後YC)とは、慢性的な病気や障害、精神的な問題でケアを必要
とする家族のために、長期間家事や介護を行っている18歳未満の子供のこと。
※日本のYCの割合はおよそ5%と見られている。
本書は、医療ソーシャルワーカーや教師へのアンケート、YC本人への聞き取りな
どを基にYCの実情を知り、更に先駆的な2つの市の取り組みと、支援において歴
史のあるイギリスを参考に今後を考察。
子供がYCになる理由の1位は、親の病気・入院、障害、精神疾患で、その子しか
ケアする人がいないというケースも多い。YCには男子より女子の方が多く、家事
・介護は女の仕事、という昔ながらの考えが根強く残っているようだ。
ケアの対象として一番多いのは母親ときょうだいで、高校生の場合は祖父母が多い。
ケアの内容は家事や介助で、他のきょうだいの世話もある。
これらは皆、“お手伝い”レベルではないハードなものであることが特徴だ。
YC自身の告白はどれも切実で、何故そこ迄放っておかれたのかと胸が痛くなる。
自分のことを周りに話せない子も多く、その理由として、理解してもらえないので
諦めてしまうのと、親に肩身の狭い思いをさせることを心配することが挙げられる。
普段から睡眠不足で慢性疲労気味。長期化すると学校を休むことが多くなり、宿題
がこなせなくなって中退してしまう子も少なくない。
また彼らの多くは、自分はケアラーだという認識が出来ておらず、自分のしている
ことを単に“生活”だと捉えがちで、「運命だから仕方ない。」と諦めていることも。
2010年に一般社団法人日本ケアラー連盟が発足し、行政も問題が起こってから事後
的に対処するのではなく、“予防する支援”が積極的に行われるようになってきてい
るという。しかしまだまだ検討や改善すべきことは多いようで、例えば、
・教師がYCであることを把握してないことも多く、地域差がある。
・行政だけでは本当の意味で子供たちを守ることは出来ない。
・YCは表面化しにくいので地域の人達の積極的な配慮が必要。 等々
著者はイギリスの現場を見てきた結果、今後日本に必要な事として次の3点を提言。
①YCが安心して話せる相手と場所を作る。 ②ケアの作業や責任を減らす。
③YCに対する社会の意識を高める
以下に、考えさせられた中から一部を抜粋。
「これから自分の将来を作っていく若い人にとっての1日4時間と、引退して家に
いる人の1日4時間とでは意味が違ってくる-(略)-中高年や高齢のケアラーを規準
に測ってしまう事には注意が必要。」
「YCはやる気がないのではなく、頑張ってるから大変なんだということ。」
「YCたちに、介護終了後復学できるシステムが日本には無い。」