[内容]
2つの家族を通して、理不尽な暴力に対する「復讐」と「赦し」が描かれている。
(2010年 製作国 デンマーク・スウェーデン )映画賞受賞
[感想]
舞台は少年達のイジメの世界と、もう一つ、難民キャンプでの深刻な暴力の世界。
エリアスはいじめられっ子で、医師の父親はアフリカの難民キャンプで働いていた。
転校生のクリスチャンは、病気の母が死んだのは父親のせいだと誤解していた。
クリスチャンが、エリアスを苛めていたリーダー格に大怪我をさせてしまい、父親
から「報復にはきりがない。」と諭されるが、父に反発してる彼は納得しない。
ある日エリアスの父親が、些細なことで子供達の目の前で殴られる事件が起きる。
父親は一度も反撃をせず、無抵抗を貫く事で子供達に内面の強さを教えるが、
クリスチャンは納得せず、男に報復するために及び腰のエリアスを巻き込んで、
とんでもない事をしでかしてしまう。
一方、仕事のためにアフリカに戻っていた父親は、難民キャンプにやって来た極悪
犯罪集団のボスを治療するが、男は結局被害者の家族達によって殺されてしまう。
キッカケは、日頃「やり返す限り暴力の連鎖は断ち切れない。」と考えていた筈の
彼が、強い怒りで診療所からボスを追い出してしまったことだった。
非暴力の大切さと2人の父親の気持ちは理解できるが、この映画を観て私が感じた
のは、無抵抗は駄目だということだ。
理不尽なことを仕掛けてくるような人間(国も)には、そんなことをしても通用せず、
むしろ増長するだけなのは歴史が証明してるし、今も多くの国が蹂躙され続けている。
この後、瀕死の重傷を負ったエリアスをめぐって大きな展開があるが、救いも希望も
ある心温まるラストで、良い映画だった。