[内容]
2007年にミャンマーで起きた、10万人規模の反政府デモの様子が収められ
ている。 (2008年 製作国 デンマーク)
[感想]
タイトルの「VJ」はビデオ・ジャーナリストの略。この映画は彼らが撮影
した映像素材が再構成されたもので、多数の映画祭で上映され、映画賞に
もノミネートされている。
1988年のデモでは3000人もの人が亡くなった。その時の事を、カメラを回しな
がら男性が「彼らは勇敢だった。しかしその死は無意味だった。」と呟いている。
だが2007年のこのデモも、暴徒として制圧されてしまった。
撮影したのは「ビルマ民主の声」という私設メディアの人間で、途中で撮影者が
秘密警察に捕まって、カメラが没収されてしまったりと、映像は常に緊迫している。
このデモでは、ジャーナリストの長井 健司氏が軍兵士によって殺害されるという、
衝撃的なニュースが飛び込んで来たのを覚えている人も多いと思う。
それもハンディカメラによって隠し撮りされ、世界中に伝えられた。
「6人以上の集会は禁止」「夜間外出の禁止令」など、政府の締め付けが厳しい
中、ついに僧侶が立ち上がってデモの先頭に立ち、民衆も次第にデモの行列に
加わっていく。その全てが現実の事で、見続けるのが辛くなる場面も多い。
私が胸をつかれたのは、後方に並ぶ僧侶達には、まだ少年の面影が残っている
ことに気付いた時だ。彼らは無事だったのだろうか。
その後ミャンマーは民主化され、長年自宅軟禁に処されていたアウンサンスーチー
女史は熱狂的に迎えられた。しかし悪化するロヒンギャ問題などで、現政府もスー
チー女史も、世界からの評価は地に落ちている。
サッカーの長谷部誠氏は、ユニセフの協会大使として活動しており、YouTubeの
『長谷部誠大使、ロヒンギャ難民キャンプ訪問』で、現在の難民の様子が見られる。