[内容]
17世紀に誕生したバイオリンの名器が、オークションに出される迄の歴代5人
の所有者の物語。 (1998年 製作国 カナダ)映画賞受賞。
[感想]
バイオリンの持ち主たちの物語は、カナダや中国など5か国の俳優によって、
それぞれの国の言語で演じられ、どれも短編映画を観るように面白かった。
300年以上前にイタリアの名工によって作られ、人々から「紅いバイオリン」
と呼ばれた名器があった。バイオリンを製作した職人の妻は、出産前にタロット
で占ってもらっていたが、完成直前に、難産のためお腹の子供と一緒に亡くな
ってしまう。物語はその占いの結果に即して進行していく。
時代や国を越えて、5人ものバイオリニストの運命を翻弄した名器。
彼らは一様にこのバイオリンに魅せられた者達で、私は中国の文革時代の話
が一番面白かった。演奏はどれも素晴らしく、特に孤児院の薄幸な少年には
驚かされた。劇中の少年は死んでしまうが、役を演じた少年は現在、一流の
バイオリニストとして活躍している。
ラストの場面は、現代のバイオリンオークション会場。名器は億の値段で競り
落とされるが、しかしこの前後にサスペンスさながらの展開があり、ハラハラし
ながらもクスッと笑ったり、意外な結果に驚いたり…。観客には最後にレッド・バ
イオリンのいわくが明かされ、魔性の名器の本当の意味が分かる。
このDVDはプレミア価格になっていたが、アマゾンで安価なものも扱われるよう
になり、やっと観ることが出来た。他にも価格の関係で観られずにいる映画が沢山
あるが、ケーブルテレビで放映されたらラッキーと思うくらいにして、面白そうな
映画チャンネルとは敢えて契約せずにいる。きっと際限なく観てしまうから(笑)。