[内容]
ヤクザから抜け切れずにいた男が、悪徳老人施設でダークヒーローと化す。
(2012年 製作国 日本) 映画ファン大賞受賞
[感想]
コンビニで働く彦一は、真面目て愛想の無い男。おとなしいので仕事仲間に
バカにされていたが、実は元ヤクザだ。
ある日コンビニ強盗をいとも簡単に捕らえるが、犯人である老人に同情して
お金を与えて逃がしたため、仲間と間違われて警察に逮捕されてしまう。
彦一が収容されたのは偶然あの老人と同じ刑務所で、そこで老人も元ヤクザ
だったことを知る。出所後に行くあての無い彦一は、老人が所属していたヤ
クザの組長を訪ね、この町で何か商売出来ないかと相談。
しかし組長からあてがわれた仕事は年寄り相手の金貸しで、彼らを破産に
追い込んで、ヤクザの運営する老人施設に放り込むのが目的だった。
要は生活保護費や年金をせしめる為の、アコギな貧困ビジネスということだ。
老人達が放り込まれるのは施設とは名ばかりのボロ屋で、ろくな設備も無く
不潔で環境は最悪。最初は搾取に徹していた彦一だったが、ヤクザのあまり
の悪徳さに彦一の心に徐々に任侠魂がもたげてくる。
ここまで酷い施設はないだろう…いや、あるかもなどと思って見ていたが、
老俳優陣の演技がまた真に迫っていて、まるで本物の病人か認知症のよう。
他にも彦一の押しかけ舎弟の青年、貧困ビジネスと闘う市議会議員、謎の
美女など訳ありの人達が絡んで物語が展開していく。
その後施設が放火されたり、ヤクザの企みを潰すために彦一が暴れるなどの
すったもんだがあるが、何故か一番印象的だったのは、仕事を与えられたこと
によって気力がよみがえってくる老人達の姿だった。自分と重なったかな?(笑)。