10代半ばの時に、アイヌ民族衣装を着た女性達が、観光客の前で伝統の踊
りを舞うのを見たことがある。中に一人、唇の周りに独特の刺青をした高齢
の女性がいたが、そういう人は当時でも珍しかった。
つい先日お笑いタレントと情報番組が、それぞれアイヌ民族を傷つける表現
をしたということで問題になった。
それは「あ・犬」=「アイヌ」という言葉で、私は北海道で育ったがこんな
言葉は聞いたことがなく、そんな差別語があったのかと今更ながら驚いた。
しかし私が最近もっと衝撃を受けたのが、アイヌの墓地は遺跡だとして遺骨
を掘り出す事が法律で許可されており「全国の 12 大学に 1,676 体と 382
箱の遺骨が保管されていた」という事実だ。
これに関しては、アイヌ民族への十分な説明も同意も無く、盗掘と判断され
るものもあったそうで、更に遺骨の保管状況に人としての死の尊厳はなく、
研究の一部はアイヌへの社会的偏見を助長するものだったと説明されている。
研究材料として全国の大学に散らばっていたこれらの遺骨を、故郷に迎えて
あげたいとアイヌの人たちが訴訟を起こし、和解に至ったその経緯があるテ
レビ番組で報じられていた。
大学側は皆返還には応じたが、きちんと謝罪した大学もあれば、謝罪は必要
無いという姿勢の大学もあり、対応は様々。
テレビ局のインタビューに、最後まで謝罪の言葉の無かった大学に対して、
ある男性が「学者にとっては、(遺骨は)モノなんだろうね。」と言っていたが、
私も同じように感じた。実際彼らはどう考えていたのだろう。