10年ほど前のある夏の日、知人(Bさん・50代)の家に行く途中の山道で
道に迷い、初めてカモシカに遭遇して驚くやら嬉しいやら。
程なくして無事Bさんの家に着いたのだが、お隣とは50m以上離れた
山中の古い家で、熊の足跡も見たことがあると言われて目が点になった。
Bさんの仕事は自由業。独身で、両親も親戚もおらず暮らしはシンプルだ。
何故こんな辺鄙な場所に終の棲家を求めたのか、彼女の友人が「老後のお
金は大丈夫なのかしら…。」と心配していたのを思い出した。
現在 国民年金の受給額は、満額の人でも月に6.5万円。他に備えが無け
れば貧困に陥る可能性があり、Bさんの友人が心配するのは無理もない。
又、日本では単身高齢者の数が増えているが、老齢年金の給付水準は年々
減少しており、今後更に高齢単身世帯の貧困が問題になると言われている。
一方日本の高齢者には金持ちも多く、後期高齢者の多くは納めた以上の高
い年金を得、60歳以上は年金の納め得で55歳以下は納め損とも言われる。
少子高齢化社会となり、「年金を受給している高齢世代も、痛み分けでもっ
と年金の減額と医療費の負担増を。」という声が大きくなるのは当然だろう。
そんな中、とかくの取り沙汰があるのが“第3号被保険者制度”だ。
会社員・公務員の配偶者で、扶養家族の立場の人(専業主婦など)には有難い
制度だが、不公平を感じている人も多い。厚労省で、廃止も視野に入れての
見直しの議論がなされているそうだが、果たしてどうなるか。
やはり一番心配されているのは、年金積立金の半分は株や債券で運用されて
いることだ。累計は巨額黒字だそうでこれは凄いなと思う。しかし、たまに
巨大な赤字額の発表があって驚かされる。リスク管理は相当に大変なようだ。
心配無用と言われるが、こうしてみると年金の将来には不安材料が山盛りだ。