[内容]
中国で実際に起きた誘拐事件をベースに描かれた作品。
(2014年 製作国 中国) 映画賞受賞
[感想]
中国は人口削減のために、2015年迄の36年間「一人っ子政策」を導入して
いたが、その爪痕を見るような映画だった。
父親がちょっと目を離した隙に、3歳の男の子が忽然と消えてしまった。
両親は離婚しており、この子は夫が引き取って育てていた。八方手を尽くすが
全く手掛かりが掴めず、2人は「行方不明児を捜す交流会」に入会する。
当時中国では、年間何万人もの子供が行方不明になっていて、売買される子
が絶えなかったという。犯罪に巻き込まれる場合も少なくなかったが、多くは家
の後継ぎにする為の誘拐で、中には実の両親に売られるケースもあったとか。
ある時誘拐犯の一味が捕まり、会員達はバスで刑務所に向かうことになった。
お揃いの赤い帽子をかぶり、高まる期待でまるで遠足のようだ。
しかし何一つ情報は得られず、帰りのバスはお通夜さながらに。
この映画でも描かれていたが、親が出す賞金をだまし取ろうと、あの手この手
で群がってくる連中がいて、二重三重に苦しめられる親もいた。
幸運なことにこの夫婦の子供は、3年後善意のタレコミにより、育てられていた
家から無事に保護された。しかし6歳になった息子は、迎えに来た実の両親の
ことを全く覚えておらず、育ての親との別れを悲しんで怒りを爆発させる。
映画の後半では、誘拐した子を育てていた女性視点でのストーリーも展開され
るが、どんなに大事に育てていても、身勝手過ぎて全く同情出来なかった。
ラストではこの映画のモデルとなった人達の、実際の映像も流れる。