[内容]
遺伝子の研究と、“サムシング・グレイト”の意に沿う生き方について解説。
[感想]
サムシング・グレイトというのは、著者が名付けた呼称で、私達の生命の
大もとには、人知を超える不思議で偉大な力が働いているという。
著者は、「ヒト・レニン」の遺伝子解読に成功した筑波大学の名誉教授で本書
では「器の大きなアホであれ。」と提言。
イネ遺伝子の解読迄の出来事や、父親を始め恩師や留学時代に著者に大きな
影響を与えた人達とのエピソードなど、面白い話が沢山書かれている。
著者の言うアホとは、「信じる道を地道に歩き、利他的で謙虚、頭の良さよりも
心の豊かさを重んじ、陽気で神の望みにも沿った生き方をする」ことをいう。
この場合の“陽気”とは、素直で正直、楽観的、苦しい時にも楽しみを見出す
生き方の事で、それが いい遺伝子のスイッチをОNにするそうだ。
「笑いやユーモアは副作用のない薬であり、心の武器でもある。」
「しっかり心定めを行うと、それに引き寄せられるように幸運もやってくる。」
「私は手術の前に必ず祈ります。」(腕の良い外科医の言葉)
上記は昔から聞く言葉だが、著者はこれらを遺伝子や神に焦点を当てて解説。
遺伝子の働きは、生体内外の環境の影響を受けて後天的に変わっていき、最も
大きな環境は“精神状態”だそうだ。つまりそれは、心の持ち方が遺伝子の
ОN/ОFFに対してとても大きな力を持っていることだという。
本書では特に下記の言葉が印象に残った。
「一つ心にとどめておいていただきたいのは、目に見えるものだけを信じるあ
まり、目に見えないものは 存在しない と切って捨てないことです。」