以前霊能力のあるBさんに、私が体外離脱した時に見た女性と男の子を描こうか
と思っている…と話したところ「そういう特別な思い入れのある絵は残さない方
がいいですよ。」と、止められた。
実はもう一つ、以前見た“夢”の絵も描きたいと思っていたのだが、これにもあ
る種の思い入れがあったので描くのはやめ、このブログに書くことにした。
3カ月前に“リアルさが際立って少しゾッとした夢”のことを書いたが、今回夢に
出てきたのはその時にも少し触れた、暗闇の断崖絶壁と足元に広がる深くて暗い
海だった。
崖の縁には人がやっと通れるくらいの細道と、見上げるほどの岩壁が続いており、
私はそこを通らなければいけないのだが、恐ろしくて尻込みしていたら、薄ぼん
やりと7~8人の男達が岩壁を背にして立っているのが見えてきた。
しかし最初は地面に立っているように見えたが、彼らは50cmくらい浮いていて、
よく見るとこの世の者ではなく全員死装束姿だった。
髪は丁髷(ちょんまげ)をおろした“ざんばら”で、目は閉じている。
私は恐ろしさに立ちすくみ、その光景を上から眺めている場面に切り替わったと
ころで目が覚めた。私は布団に横になったまますぐに、夢の中で恐怖と同時に感
じた彼らの“魂の本質”について思いを巡らせた。
彼らは戦に敗れた落ち武者で、元は身分の高い人達だった。
それ迄私は武人を「只の人殺しとは違うが、しかし…。」と、どこか批判的な目で
見ていた。しかし、本物の武士というのは(少なくとも夢の中の彼らは)、テロリ
ストと言われる一部の人々や独裁者などとは全く違った。
中でも武将は仁愛と正義の心を持ち、常人とはかけ離れた器の持ち主のようだった。
こんな具合で、初めはただ恐ろしいだけだったが、畏敬の念が湧いてきた。
「落ち武者は薄の穂にも怖ず」という言葉があるが、皆が皆そうだったわけではな
いようだ。尤も夢に出て来た彼らは、稀な部類なのかも知れないが…。
“たかが夢、されど夢” たまにこうして思いもよらない形で気付かされることが
あるので、夢は侮れないと思っている。