(元)夫が興した会社の事務をしていた時、最初は手書きの帳簿で計算もソロ
バンでしていたが、数年後に事務処理をパソコンですることになった。
市販の会計ソフトではなくうちの会社にマッチしたものをと、制作会社に
見積もりを取ったところ、思ったより高い金額を提示された為、個人で作っ
てくれる人を探した。
その人は経理を全く知らなかったが、私の言う通りのものを作ってくれると
言い、しかも見積もり額は先の会社の4分の1。何度か失敗もしたが、試行
錯誤の末にそれが完成した時は本当に嬉しかった。
それから10年程の間に、会社に3回(3年に一度)税務署の調査が入った。
黒字ではあるがそれ程大きな額ではなく、社長の報酬も特別高いわけでは無い。
しかも調査しても小さな単純ミスが見つかるくらいで、追徴金もせいぜい
10万円前後だ。それなのに何故?と思っていたら、ある人から、それが黒字の
同族会社の宿命だと言われた。「同族は叩けば埃が出る」ということらしい。
ある時、税務署員にまるで取り調べのような言い方をされて、怒りを抑えなが
ら一言だけ言い返したことがあった。その人は全部終わってから「失礼なことを
言って申し訳ありませんでした。」と謝り、「御社は帳簿がしっかりしてるので、
大変やり易かったです。」と続けた。それで喜んだ私はかなり単純だが、決算を
依頼してる税理士には「キッチリし過ぎてごまかしようがない。」と苦笑された。
仕事をやめた今は、エクセルで家計簿関係をつけるくらいで、たまにソロバン
を持つと間違えるし、入力作業も年々トロくささが増している。だから尚更
今は若い時以上にパソコンの便利さが有難い。