ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

死刑絶対肯定論 (美達大和) 新潮社 

[内容]

無期懲役囚が獄中から、重刑や死刑制度の必要性を訴えた本。

副題は『無期懲役囚の主張』 

[感想]

本書は「受刑者によって書かれた貴重な本」「検証できず信用できない」など、

評価は大きく分かれるが、知らないことも多く考えさせられる本だった。

 

著者は1959年生まれ。やくざと繫がりのある貸金業の父親のもとで育ち、

自身も若い時から貸金業を営んでいたが、“筋を通さなかった”ことを理由に

2件の殺人事件を起こして無期懲役となる。本人は死刑を希望していたそうで、

仮釈放を放棄し、死ぬまで反省の日々を過ごすと決めている。

 

本書では主にLB級刑務所(凶悪犯収容施設)の受刑者の実態と更生の可能性、

死刑制度についての考察が書かれている。 以下は彼らに対する見解の一部。

 

・凶悪犯罪者の殆どは反省などしておらず、再犯率が高い。

・「あんなところに居たからだ」などと、自分の犯行を被害者のせいにしている。

・受刑者は自分の利益しか考えておらず、狡猾に振る舞っている。

 

他には

・量刑は犯罪の内容で決めるべきで、更生の可能性を考慮する必要は無い。

・軽すぎる刑は、そのまま社会防衛上の危険となる。 

死刑廃止派の人には、被害者や遺族の視点が抜けている。 等

 

死刑制度を廃止した国は多く、日本もこの制度を廃止すべきと訴える人は多い。

しかし日本人の8割は「死刑はやむを得ない」と考えており(2019年内閣府調査)、

「“死刑は無いが犯罪者が現場で射殺されることが多い国々”と、それが殆ど無い

日本とでは簡単に比較は出来ない。」という意見もあり、難しい問題となっている。

 

著者の本は他にも何冊か出版されており、「美達大和公式ツイッター」では著者

による書評が数多く公開されている。